短々落語「八卦飴」
400文字以内のショートショート落語臭
「八卦飴」
ご隠居、何だいこれ?
それかい、金なら1枚銀なら5枚銅ならタダでお菓子の缶詰が当る応募券さ。八つぁんにあげるから試しに応募してごらん。
当るかな。
昔から、当るも八卦当らぬも八卦、というじゃろ。
なんだい八卦って。
八卦は占いの事、易で陰陽を示す八種の算木から来ている。つまり占いは当てにならないって事だね。
ご隠居ありがと。これ頂くよ。
(数日後)
ご隠居てぇへんだ、お菓子の缶詰が当っちまった、ほら。
随分と大きな缶詰だねぇ、何々ラベルに「当たるもはっか当たらぬもはっか」とあるよ、八つぁん蓋を開けてごらん。
ガッテン承知の助。(うーんと唸り苦戦する八つぁん、とパカッと蓋が開いた)
ご隠居、飴玉がたったの一つ。
それは何とも味気ない。
あれ、おみくじもあるよ、どれどれ(八つぁん、おみくじを開封して読みあげた)
大けち、凶、ここは一つ、はっか飴を舐めてスカッとすべし
なめた話だね。
短々落語「八卦飴」
お後がよろしいようで。