夏の雨

あおい はる

 ふたりぶんの、重みで、ベッドは悲鳴をあげる。安っぽいものだから、かもしれない。きょうのデンパは、すこしだけ、やさしかった気がする。当社比である。ウツ、と呼ぶ声が、なんだか春の陽気みたいに、ぽわぽわしていたのは、お酒を飲んでいたせいだと思うし、でも、もしかしたら、きょうがデンパの、おかあさんだったひとが、おかあさんじゃなくなった日だからかもしれない。樹木葬を、したので、きっと、いつか、あのひとは、森の一部となって、星に還るのだと、デンパはさびしそうに、けれども、うれしそうにいうので、ぼくは、デンパの、かなしい、は、もしかしたらとっくのむかしに、消え失せてしまったのかなぁと思って、デンパの代わりに、泣いた。(ほんとうは、でも、デンパの、かなしい、は、デンパのなかの、デンパも気づかない、奥底の方に沈殿していて、それで、それが、自然と、神経をとおって、デンパの表面に、あらわれていたのかもしれない)(故の、やさしさ?)(ぼくのからだをあばく、ゆびが、つめたかったのだ)(でも、ただ、つめたいだけではなく、あたたかさもあって、ぼくは、夏の雨に打たれてる気分だった)
 夜明けは、まだ遠く。

夏の雨

夏の雨

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-19

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted