フラット

 ひな。しらない鳥の、かよわいからだが、小刻みにふるえていた。夕暮れの頃に、ふ、と、しのびよってくる、さびしさと。付随する浮遊感。点滅する歩行者信号の、青に、縺れそうになる二本の足。アスファルトが、やわらかい気がしている、トランポリンみたいって思ったら、なんだかすべてが、どうでもよくなった。コンビニのまえで、アイスをたべている高校生の、ハリ、みたいなものがじぶんにもあったことを、あのひとは、遥か遠くの景色を眺める眼差しで語り、ぼくの手を握って、ひとり、秘密めいた行為に酔いしれている様が滑稽で、でも、きらいではないと思った。いいじゃないか。恋も、愛も、平等に、にんげんは、していいのだ。だれを、なにを愛してもゆるされるべきではないか、という、ぼく個人の思想は、けれども、社会の、不特定多数、群衆に、あっけなく掻き消されるけれども。
 ハンバーグが食べたいと、あのひとが言う。ぼくは、こどもみたいだ、とは嗤わなかった。

フラット

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-18

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