白鳴り

藤月犀窩

塀に腰掛けて、一日中遠くを見ている老人の瞳に、遠い海の色を見る。それから裸足の少女を見る。さざなみを映すくらやみのなかで、青いひかりが一つずつ消えて、最後に彼がコンクリートの滲みになるまで、幾つも繰り返す朝をひそかに数えている。
海のない街は鴎の夢を見る。

白鳴り

白鳴り

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-17

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