白鳴り
塀に腰掛けて、一日中遠くを見ている老人の瞳に、遠い海の色を見る。それから裸足の少女を見る。さざなみを映すくらやみのなかで、青いひかりが一つずつ消えて、最後に彼がコンクリートの滲みになるまで、幾つも繰り返す朝をひそかに数えている。
海のない街は鴎の夢を見る。
白鳴り
塀に腰掛けて、一日中遠くを見ている老人の瞳に、遠い海の色を見る。それから裸足の少女を見る。さざなみを映すくらやみのなかで、青いひかりが一つずつ消えて、最後に彼がコンクリートの滲みになるまで、幾つも繰り返す朝をひそかに数えている。
海のない街は鴎の夢を見る。
白鳴り