つけあわせはフライドポテト派

 ねこと、やさしかったあのひと。腐った街と、かなしみを吸ったひよこ。救世主だった、こどもたち。みんな、真夜中に、ちった。シスター、どうか、あのこだけは幸せにと祈る、きみ。マザー、どうか、きみだけは掬われてと願う、わたし。みずみずしい、花びらを食んで、紅。ひとりの幸福の対価として、複数のだれかが不幸になるのだとしたら、わたしたちの祈願はすべて、罪になるのでしょうかと、ネムが問う。
 しらん、とわたしは思う。
 ついでに、ネムの妄想につきあっていると、ちょっと、わたしの方も、奇妙な感じになってくるので、控えてほしいわぁと思いながら、午後九時までしかやってないファミリーレストランでふたり、チキンステーキを食べてる。くちびる、油で、艶々になってる。初夏。

つけあわせはフライドポテト派

つけあわせはフライドポテト派

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-15

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted