グリーン

北上八三

二か月くらい前からずっとありました。でもこれ面白いかな?って思って。

尚も、コロナ禍で大変な昨今、でもニュースではそうやって言って不安を煽ってるけど、実際はもうコロナコロナなこの現状に疲れているし、あともう段々慣れてきてて、慣れてきてるっていうか飽きてきてて、まあ去年の初冬に比べたらもう全然精神的動揺も無くなってきていて、岩手でかかった最初の奴をつるし上げようっていう空気も無くなっており、もうコロナ禍もコロナ禍々しいではなくて、っていうか大体禍々しいって入れないと出てこない禍ってなんだよ。もう鍋でいいよ。鍋の方が早いし。コロナ鍋でいいだろ。っていう感じになってきたので、もう大丈夫だろうかと思って、一旦実家に帰省することにした。

ただまあ、腐っても実家のほうは実家の方で、私が子供の頃からあったある種のネットワークの様なものが常在しており、今もTVの視聴率を気にする輩のような人達みたいに滅びに向かいつつもまだまだ横たわっており、それだからおいそれと実家に帰省する様を大衆の面前に晒すのもどうかという事になった。

あと、夜行バスは未だにその横たわってるモノたちの影響か、あるいは乗客がいないからなのか、コロナ鍋の当初から運行しておらず帰省するには新幹線、あるいは飛行機という選択肢になる。あるいはレンタカーで帰るか?無理無理。どうせ無免許で運転して対向車線に飛び出して次々と対向車にぶつかるやつみたいになるって私なんて。ペーパーゴールドだし。そもそも運転に対してロマンとか無いし。車に対する興味も薄い。子供の頃チョロQのゲームでチキンレースやってゆっくりラインに入ってチキンだ!キチだ!人非人だって非難をされて以降、全く何とも思わなくなった。だから欲しい車は?って聞かれても、
「コストコで買ったものが沢山入る車」
っていう感じ。

という訳で、まあ無難に新幹線で帰って秋田駅で暗くなるまで待機して闇に紛れて実家に帰省する。という事になった。可能なら帰りがけのイオン、あるいはユニクロでおべべを買ってそれで後はもう家から出ないで過ごす。というのが理想だったが、実家の都合上それは叶わなかった。まあ、これは無事に家に帰りついてから考えればいいか。何だったらコメリとかホーマックでも売ってるでしょ服とかも多少は。

で、そんな無理して帰らなくてもいいのに、という空気が家族間で蔓延(私自身すら)する中、まん防!JRのなんかのキャンペーンだと思うんだけど、グリーン席に当選した。
「嘘だろグリーンとか!」
乗ったことない!これはもう是が非にでも帰らなくては!

グリーン席とか乗ったことないし!庶民には手の届かないモノだと思ってたグリーン!グリーン席だし!で、その瞬間私の中に帰省の意義が生まれ、実家に帰ってからの展望とかも開けた。視界が開けたというか。まずこないだ買い替えたパソコンの調子を見るでしょ。あと実家のスマホについての事をヒアリングするでしょ。あとやまやにいって父親にウイスキーを買って母親に靴を買って忌々しい父の日母の日を一挙両得に処断する。それからニラの辛壺風とネギの塩ごま油ダレをこさえて食べてもらい低温殺菌牛乳でモッツァレラチーズを作成してトマトのカプレーゼを作ってピザ生地をこさえてピザを焼く。
「最近私多少ですけど、こういうことしてますのよ」
「へー、レシピは?クックパットで?」
「そうなのよお、他にもちょっとグーグルでみたら無限にあるからね」
「無限に?」
「そう、ようつべとかでも観れるから」
母親との話も弾む。
「父親、ネトフリどう?」
「観てるよ」
「最初の頃観てなかったのにい?」
「面白いな」
「じゃあ最初から観たらよかったじゃーん!」
父親との会話も弾む。

という訳でもう一気に実家帰省に対しての意義が生じたため、それはもうそれからの期間はウキウキしながら暮らした。もちろんその間も神妙な顔はしてたよ。実家に帰省するウキウキとか表層に出していたら、人によっては鈍器で殴りかかってくるかもしれないから。言ってもコロナ鍋中だから。ちなみに識者とか、学会の人とかによると後4、5年はコロナ鍋らしいけど。本当はどうかは知らない。

そんなして帰省当日、
「本当にグリーンか?」
私には身に余る待遇だ、グリーンとか。辞退したらよかった。私なんて床でいいのに。まるで犯罪者になったような気持ち面持ちで新幹線に乗車し、初めてのグリーン車両に足を踏み入れた。

「おお・・・」
グリーン席は、グリーン車両はジャングルみたいになってた。車両内に南国の植物やフルーツが生えており、あと嘴の大きなカラフルな鳥もいた。極楽鳥みたいの。何羽もいた。クワカアって鳴くようなやつ。

グリーン席ってこういう感じなの?一歩入ってそう思ったけど、でも何もわからない素人だと思われると恥ずかしかったので、黙って当たり前という面持ちで自分の席探して座った。

Nの2、自分の席の所には鳥の糞が落ちていた。でもグリーンってこういうもんなんだろ。って思って何も言わずに顔にも出さずに座って、タブレットで映画観ながら実家に帰った。

グリーン

グリーン

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-14

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