世界の終わり-焼き場-

ハートアート

朝テレビのスイッチを入れると、ニュースキャスターが「おはようございます。世界の終わりまであと七日になりました」と言う。
世界中の人々は、このニュースにも、もう慣れっこになってしまっているのか?
何時もと変わりない日常を過ごしている。
パニックや暴動になることこそが、悪なのだ。
食料が無くなった訳でもない。
人類は何不自由のない生活を手に入れたというのにニュースでは、世界の終わりの日を告げるニュースがカウントダウンされている。
世界の終わりが近づいてきても、エッセンシャルワーカーと呼ばれている職種の人々は、当たり前に仕事を続けなければならない。
その中には、刑務所の看守や、死刑囚の刑の執行、執行された死刑囚の遺体を焼く火葬場の職員も、世界が終わりの日まで、働き続けなければならなかった。
事件の被害者遺族たちは、加害者である死刑囚たちが、世界の終わりの日までぬくぬくと生きていることに、理不尽さを感じ死刑の刑の執行の前倒しを訴え、大臣は刑の執行の判子を次から次へと乱発した。
そうなって、たまった遺体を火葬する職員は、忙しくなってたまったものではない。
世界が終わりの日まで、死刑囚の遺体を焼き続けなければならない。

焼き終わり、骨壺に移し替えても、誰も骨壺を引き取りに来る家族はいなかった。
骨壺は焼き場に積み重なり、死刑囚の執行後の棺桶が霊安室に積み重なり。
いくら遺体を焼いても焼いても、あと一週間で全てが焼き上がる数では既になくなっていた。

特別手当のお金を貰ったところで、世界の終わりがもうそこに来ているのにそのお金をどう使えというのだ?

世界の終わり-焼き場-

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