塔
塔の上の塔の上の塔の上の塔の上に誰もいない
そういうことをあなたは未だに許せないでいる
幾何学模様に憧れたいのに
翼のもげた小鳥は不味い紅茶になっている
偶像の神様を疑いたいのに
粉々のガラスコップのことばかり考えている
〝聞きかじったような知識で語る倫理が大嫌いで
聞きかじったような知識で騙る論理が大好きだ〟
そういうことをあなたは誇らしく思っている
風に吹かれることを酷く恐れて、あなたは塔の階段を探している
塔の上の塔の上の塔の上の塔の上に誰もいない
そういうことをあなたはずっと信じられないでいる
〝いつまで蛙なのさ、おれは笑わないといけないのだ、おれは笑わないといけないのだ〟
あなたは探している、塔はただそこに建っている
塔の上の塔の上の塔の上の塔の上に誰もいない
そういうことをあなたは永遠に信じないまま
塔