無音の波濤

押し寄せる

波の気配に気づかずに

私は呑み込まれる

痛いくらいの

空の青さに見とれていた

あの頃、

刹那的な愛情だけで

生きていけたよね

欠けていることでしか

生きていることを感じられない

美は

悪をも取り込むんだ

僕は美しい悪になりたいんだ

大衆的な美や善が

僕の敵だ

僕はこれからも奪うよ

僕を傷つけてくれるものは

全部奪うよ

無音の波濤

無音の波濤

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-04

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