絆される
さくらのあと。夏は、いつも、どことなく殺意に満ち溢れていて、熱にうなされるばかりの、生きとし生けるものたち。シラユリに埋もれて眠っている、半生命体のニアと、機械少女。たいくつしのぎに、たくさんのにんげんが冷凍されているカプセルを磨いている、きみ。流されるままに、しらないバケモノとはだをあわせて、きもちいいとか、きもちわるいとか、そういう感情よりも真っ先に表面化された、生きてる、という実感。嗤っちゃうほどにピンクだったホテルの壁。たばこを一本、吸っているあいだに、バケモノは、好きだ、なんて言い出して、ぼくのことを、そんな、たったの一度、そういう行為をしただけで、なぜそうなると思いながら、紫煙を透かしてみえるバケモノを、みているようで、みていなかった。夜が明けたら、街が、怪獣におそわれて、こなごなになっていればいいのに。
絆される