山小屋

いつもと同じ、変わらない空を見ていた時
友人から連絡があった。
この話は その連絡から始まった。

田舎のカフェで働かないか、と友人は言った。
毎日目に映る空の色に飽き飽きしていた私は、友人のいう田舎のカフェに向かうことにした。

そのカフェは、思っていたよりも田舎にあるうえに、看板もなく、車がやっとすれ違えるくらいの道沿いにあった。
こんな所に誰が来るのか、と思いきや、高台にある駐車場には車がずらりと並んでいた。
自分の車を駐車場の一番奥、小さなスペースに停めることにした。
1時間以上の運転をしたのは久しぶりだったせいか、車を降りた時に腰がコリッと鳴った。外に出て背を伸ばすと、目の前どころか辺り一面、緑の筒に入り込んでしまったような景色。
聞いたことのない鳥の鳴き声とサラサラと葉を揺らす木々、山の匂い…としか表現できない、地を這ってきた風と木々を抜けてきた風でブレンドされた香り。
空は、青くどこまでも透き通っていた。

………続く

山小屋

山小屋

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-01

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