透明な灰
あの日には戻れない
そんなわかりきったことを僕は
いつまでもいつまでもなぞっていて
いつまでもいつまでも嘆いている
生きていくことの空虚を憂いている
瞳から過去が零れ落ちていく
とめどなく、とめどなく零れ落ちていく
僕はそれをどうすることもできない
黙って見ていることしかできない
浅い追憶の泉で、ひとり溺れて。
透明な夢の彼方で、透明な灰になるまで。
永遠や絶対なんて言葉に縋るほど
きみは未来に期待していなかったね
きみには今しかなかったんだ
きみには今しか要らなかった
姿をかえて遠ざかっていく
手に届かないものが美しいのは
手に届かないからだよ
透明な灰