色褪せない関係
写真帳の中で生きるひとたち
私の伴侶は、隣に越してきた少女と夢中になって話しているようだった
「そのすまほ…?という機械はみんなが持っているの?私の時はねぇ、黒い電話だったのよ。母様が留守だと、暗闇でジリジリと響き渡る音が怖くてねぇ…」
きゃあ、隣の少女が歓声をあげる
「田舎のお婆ちゃんの家にもありましたよ!黒電話!うちの電話も廊下の隅に置いてありました。なんでですかね」
きゃらきゃらと少女の笑う声、伴侶も着物の裾で
ふふと笑う口元を隠して楽しそうである
いつまでも笑う2人をみたいけれど、この歓談の時間はお開きのようだった
「あら、頁が開くみたいね。また帳が閉じたらお話ししましょう。」
伴侶が少女にそういい、2人が手を振り合うのを見届けるとのほぼ同じ
真っ暗だった世界に一筋の光がさして、次の瞬間には真っ白になった。
色褪せない関係
アルバムの中で生きる人たちの話
アルバムが閉じている時だけ、写真の中のひと達は生き生き動き始め、おしゃべりするの。