色褪せない関係

写真帳の中で生きるひとたち

私の伴侶は、隣に越してきた少女と夢中になって話しているようだった

「そのすまほ…?という機械はみんなが持っているの?私の時はねぇ、黒い電話だったのよ。母様が留守だと、暗闇でジリジリと響き渡る音が怖くてねぇ…」
きゃあ、隣の少女が歓声をあげる
「田舎のお婆ちゃんの家にもありましたよ!黒電話!うちの電話も廊下の隅に置いてありました。なんでですかね」

きゃらきゃらと少女の笑う声、伴侶も着物の裾で
ふふと笑う口元を隠して楽しそうである

いつまでも笑う2人をみたいけれど、この歓談の時間はお開きのようだった

「あら、頁が開くみたいね。また帳が閉じたらお話ししましょう。」

伴侶が少女にそういい、2人が手を振り合うのを見届けるとのほぼ同じ

真っ暗だった世界に一筋の光がさして、次の瞬間には真っ白になった。

色褪せない関係

アルバムの中で生きる人たちの話
アルバムが閉じている時だけ、写真の中のひと達は生き生き動き始め、おしゃべりするの。

色褪せない関係

写真は色褪せない

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-05-30

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted