50代の男性が、魔法少女の選考試験を受けたらどうなるのか?

なおち

  1. 登場人物の紹介。 (文章は随時加筆修正)
  2. 作品の世界観は? ラノベのようだが、つまらないのではないか?
  3. ここから本編。 第一話「日本型ウイルス、襲来!!」
  4. おっさんは、面接に合格した。
  5. クラスで魔女の紹介がされた。

登場人物の紹介。 (文章は随時加筆修正)

佐藤コノハ
――主人公の小学6年生。おとなしい性格で、人前では
  あまり自分を出すことができない。実は正義感が強い。


相模タクロウ
――コノハのクラスメイト。クラスは三組。
  走るのが大好き。イケメン。優等生。
  コノハから好かれていることに気づいてない鈍感野郎。


ピザ君
――タクロウの幼馴染。ピザデブ体形なので、あだ名がピザ。
  学校の男子女子のみならず、先生からもそう呼ばれるため、
  いつしか体操着の名前まで「ピザ」になってしまった。
  重度のアニオタで趣味はフィギュア集め。

ギャル
――別名、ビッチ。6年1組所属。クラス委員。
  小学生なのに髪を染めたり化粧をしたり、サイズが合わないのに
  ブラをしたりと、背伸びをしてしまう今時の女の子。
  クラス委員なのに成績は下の方。彼女の本名をなぜか誰も知らない。


あんちゃん
――コノハの近所に住んでいるお兄さん。受験を控えた中学三年生だが、
  学校に行かずに家に引きこもっている。趣味はPCゲーム。PCを自作できる。


クソ野郎
――コノハのクラスメイト。素行の悪い不良男子。口癖は「うぜーだりー」
  掃除の時間はさぼり、委員会もさぼり、体育会の練習もさぼる。
  あまりの協調性のなさから、あだ名が「クソ野郎」になってしまった。
  彼は出席を取る時も先生から「クソ野郎君」と呼ばれて普通に返事している。


氷のお姉さん
――市の総合病院で働いている、24歳の看護師。実は元殺人鬼で、小学6年の時に、
  同級生の女の子をカッターで刺し殺した経歴あり。栃木県の厚生施設で
  中学時代を過ごした後、高校以降は経歴を偽って生活する。
  看護学校を卒業後、ナースに。実は魔法少女の経験がある。


根暗ちゃん
――中学一年生の魔法少女。性格がすごく暗く声も小さいため、根暗ちゃんと
  呼ばれるようになった。別名、暗(アン)ガール。実は小3の時から
  魔法少女の経験があり、戦闘能力は他を圧倒する。


魔女さん
――いつも黒ずくめの服を着ている、中二系美少女。文字通り中学二年生。
  根暗ちゃんの学校の先輩にして、謎の宗教の教祖でもある。
  彼女も魔法少女。いつも深くかぶっているフードを外すと、実はすごく美人。


おっさん
――妻と離婚を考えている53歳の男性。13歳年下の妻と10年間過ごしたが、
  妻のヒステリーにいい加減嫌気がさして、別居を考えている。
  そんな時に、偶然にも魔法少女募集中の求人を見つけ、無謀にも応募してみた。

作品の世界観は? ラノベのようだが、つまらないのではないか?

結論 → つまらない。

この時点で不快に思う人は、そっとページを閉じて欲しい。

今作も小説ではなく「作文」の域を出ないラクガキである。
チラシの裏にでも書こうと思ったら、最近の広告は裏表に
しっかりと印刷してあって書くスペースがなかった。


今回、なぜ作文を書くに至ったのかを自問自答する。

→「魔法少女ものは、アニメでも散々やりつくした。
  なぜ今さら書く必要があるのか?
  既出の有名作品のパクリになるのではないか?」

なんとなくだ。どんなに頑張って書いてもパクリになると思う。

→「そもそも、この作品ななんだ? 子供向けのファンタジーなのか?
  大人が読んでも面白いのか?」

おそらく子供が読んでもつまらない

→「では書く意味があったのか?
  あらすじにあったが、劇中の設定では
  なぜ東京五輪を強硬開催させているのか?」

自民党を批判するためにそうした。書いたのは暇つぶしだ。

→「魔法少女のバトルがメインになるのか?
  今まで書いてきた作品群とは内容が異なるのか?
  また今作ではボリシェビキがどうとか、そういうネタは出るのか?」

今作では共産主義は関係ない。共産主義ネタはそろそろネタ切れだ。
バトル系のシーンが多くなると思う。

ここから本編。 第一話「日本型ウイルス、襲来!!」

ピンポンパンポーン~~  ←校内アナウンスの音。

『気象庁から、日本ウイルス警戒警報が発令されました。
 校内に残っている生徒は、速やかに帰宅してください』

クソ野郎は、掃除モップを床に放り捨てる。

「おう、てめえら。今の放送聞いたろ?
 すぐ帰れってよ。掃除なんかしてる場合じゃねえよな!!」

彼はランドセルを背負い、一目散に帰ろうとしたが、後ろから肩をつかまれる。

「待ちなさいよクソ野郎君。すぐ帰りたいからって日本ウイルスをダシに
 使うなんて卑怯だよ。日本ウイルスは私たちの学校に現れたわけじゃないんだから」

主人公のコノハだ。ショートカットの髪に髪留めをしている。
彼女の言うように、ウイルス警報が出ても日本のどこかに
出現をしたという意味であり、この学校に被害が出る可能性は低いのだ。

「うるせー死ね」

クソ野郎は手を振りほどき、逃げ出す。彼の背中に
「家で何かやることあるのかよ」「あいつ、マジさいてー」「まじクそだわ」
などと心温まる言葉が投げかける。彼にとっては慣れっこだ。


実は彼のような不良生徒は、小学校の段階でも増加傾向にあった。

令和20年。日本国はすっかり荒廃した。自民党政権が長く続きすぎたせいで、
経済は失速。OECD加盟国の中でGDP成長率が、
唯一のマイナス成長となっていた。コロナが長引きすぎたせいだ。

日本政府は令和3年の段階でもGDPの成長率が先進各国の最低を記録。
焦った政府の無能者が、緊急的に接種を速めたわけだが、
実は消費期限ギリギリのワクチンを
高齢者に摂取していたため、5年後に後遺症が発症。
接種した人間の9割が「多臓器不全」「動脈硬化」によって死亡した。

東京五輪の強硬開催もまずかった。台湾の選手が持ち込んだウイルスが、
日本の高温多湿の風土の中でさらに成長、進化を遂げ、
ついに日本型ウイルスが全世界にまき散らされる。

日本型のウイルスは、いわゆる擬人化ウイルスであり、
ウイルスのはずなのに手や足が生え、人を襲ったりするのだ。
それだけでなく、商店を襲うなど略奪暴行も平気で加えるため、
サルやクマよりも危険だとされた。

このウイルスの戦闘力や防御力だが、かつてドイツ帝国軍が生み出した
「タイガー戦車」と同等とされ、さらにウイルスの総数は全世界で1億匹を超える。
ウイルスは、普段は空気中に漂っているが、
突然人前に現れて襲ったかと思うと、また空気の中に消える。

このためウイルスを迎撃するのは困難であり、
魔法の力でもない限りは不可能とされた。

幸運なことに日本には古代から八百万の神が存在する。
八百万の神から力を借りれば、魔法の力を行使できる。
実はその正体は一人の人間の姿をした神であり、神から力を借りるためには、
魔法少女の面接試験を受けないといけない。ちなみに魔法少女に慣れない人は、
魔女になるコースもある。何が違うのか? それは後述する。


ある日、

「私も受けてみようかな」

と佐藤コノハが思う。
今朝パパが新聞代わりに読んで置いて行ったタブレットの画面に、
こんな広告があったのだ。

『急募!! 魔法少女!! 16歳未満の女性活躍中!!
 この世の悪を倒すのが目的な、国際ボランティアの仕事です!!
 OJT教育制度あり!! 充実の福利厚生!!
 今なら登録、スマホでたったの1分。履歴書不要!!』

令和20年の日本は貧困国へ転落していたため、
児童労働が解禁されており、10歳以上の子供でも求人に応募することができた。
もちろん学生なので、名目上はアルバイトになるのだが。

「でもボランティアなんだよね……」

問題はそこだった。魔法少女の仕事は無給。福利厚生としてマスクが2枚支給。
さらにアルコール消毒液の原液が支給。
どこかで聞いたことのあるブラックボランティアである。

「しかも選考するのは派遣会社なんだ……」

魔法少女とは、派遣会社と派遣労働契約を結んで戦う仕事である。
派遣先企業など実際存在しないので、何をもって派遣と呼ぶのか謎だが、
とにかく派遣会社となっていた。


そして彼女と時を同じくして『おっさん』も魔法少女にあこがれていた。

「そろそろ離婚しないとな」

今日も散々な一日だった。妻は気に入らないことがあると、よくメールを送ってくる。

『今朝の洗濯物の干し方が気に入らなかった』
『昨夜の夕飯のハンバーグが焦げていた。私を殺すつもりか』
『車の窓の拭き方が雑』
『あんたの給料が安くてやっていけない。その分私が稼がないといけない』

いわゆる小6病と呼ばれる病気がある。
自分自身を悲劇のヒロインと見なすことで、この世全ての不幸を
背負っている自分が、世界一不幸であり、私を不幸にする人を
攻撃しても良い、という理論である。

この理論は、ヒステリーを正当化させる。
きわめて幼稚な理論なわけだが、この手の女性は世界中にたくさんいる。
結婚相手には「あたり」「はずれ」があるわけだが、
彼が選んだ女性は典型的な「はずれ」だった。

今日は忙しくてメールの返事をする暇がなかったので、今日帰ったら
三時間は怒鳴られることを覚悟せねばならない。妻のヒステリーは
生理前が特にひどいのだが、妻の生理周期など彼は把握してない。
今日がその日だったら、皿は当然飛んでくる。彼が大切にしていた
オーディオも破壊されることを覚悟せねばならない。

「早く離婚しないとな」

とはいえ、妻が離婚を認めてくれない。
妻は夫の給料が安い安い、私がこんなに苦労してると泣きながら言うが、
いざ離婚の話を持ち出すと急に泣き出す。自分は仕事できるわけでもないし、
パートの安月給で働いている。さらに家事の大半を夫に依存していた。
自活能力に欠ける自分には、一人暮らしできる力がないことを自覚しているからか、
離婚だけは何としても防ごうとする底意地の悪さがあった。

「じゃあ俺が出ていけばいい」

という結論に至り、妻に内緒でアパートの契約先を探していた。
今月に入ってから三件も不動産屋を回った。

そんな時、偶然通りかかった書店にこんな張り紙が。

『魔法少女。急募』

彼は人生に疲れていた自覚はある。
だがなぜ自分が応募しようと思ったのか、今になってもよくわからない。
きっと美少女にでも変身して人生をやり直したかったのだ。

まだ10年分のローンが残る分譲マンションから逃げ出したい。
妻のヒスにより育児が不可能となったため、実家の母に預けた小学生の息子のことも、
いったんは忘れたい。長年勤めた工場の仕事からも逃げ出したい。

「さてと」

おっさんは、履歴書不要とのことだったので、面接会場へと足を踏み入れた。
待合室には若い女の子がたくさんいた。魔法少女の募集なので当然だ。

「あの人、面接官かな?」
「派遣会社の営業じゃない?」
「なんで私達と同じ列に座ってるの?」

おっさんは、気まずい思いで待合室のソファに腰かけていた。
鍛え上げられた腕を組み、足を開いて座るその姿には一定の貫禄がある。
少女たちは明らかにオッサンから距離を取るが、コノハだけは別だった。

「あの……」
「ん? 君も魔法少女のお仕事に応募したいのかい?」
「はい。もしかして、あなたも?」
「そうだよ」

コノハの隣に座っていた少女が「ぶっ」と吹き出した。
コノハも驚いたけど笑いはしなかった。

「おじさんでも面接してもらえるんですか?」
「おじさんとは失礼だな。私は心は10代のままだよ。ピュアなんだ」

コノハは、(この人、やばい人なのかな?)と思い、少しだけ距離を取る。
話しかけなければ良かったとさえ思った。

「それにしても君はここで何分待ってるんだ?」

「えっと……30分以上待ってます。面接は来た順にするらしくて、
 まだ前に来た人の面接が終わってないらしいんです」

魔法少女の面接は人気のため、多い時では一日に30人を超える応募がある。

おっさんは、面接に合格した。

「これで私も今日から魔法少女か」

スマホで合格通知のメールを受け取った時、おっさんは家で大いにはしゃいだ。
50代の年齢を考えると、ユニフォーム(魔法少女)を着るのはいろいろと
問題があるかもしれないが、重要なのは見た目ではなく仕事ぶりなのだと
自分を納得させた。

派遣会社からは魔法少女変身セットが送られてきた。
魔法少女でググればすぐにヒットする、可愛らしいリボン付きの衣装である。
さっそく自室で魔法を唱えながら着替えてみる。
スカートの下から工場での労働で鍛えられた足が伸びる。
すね毛が生えた醜い足だったが、本人は気にしなかった。

「あんた……なんて格好してるの……」
「何か言ったか?」

文句を言ってきた妻をビンタし、マンションの窓から落としてやった。
ここは4階なので死んだかもしれない。

「私は今日から魔法少女なのだ!!」

おっさんは勝利の雄たけびを上げた。何に対しての勝利なのかは不明だ。
さっそく町へ繰り出し、悪を退治することにした。

「あ、おじさん」
「君は、コノハちゃんじゃないか」

コノハも魔法少女試験に合格していた。二人は同期だ。
服装もお揃いだが、50過ぎの男性と小6の女の子ではずいぶんと印象が変わる。
ちなみに魔法少女は時期によって胸に着いたリボンの色が変わる。
可愛らしい髪飾りもつける決まりなのだが、おっさんもきちんと付けていた。
スポーツ刈りの頭には不似合いな髪飾りだったが、本人に気にした様子はない。

「良かったら一緒に悪を退治しないか?」
「そうですね。私も初めてなので勝手がわからないですし」

ふたりは街を歩いた。
人の大井駅前の商店街通りを歩いた。親子にしても顔は似ておらず、
また摩訶不思議な格好をしているため周囲の注目を集めた。
通りかかった本屋には、『魔法少女。急募』の広告が。
それを見たコノハは急に涙目になり、おっさんにこう言った。

「あの、おじさん。実は私、悪を倒すために魔法少女になったわけじゃないんです。
 クラスに好きな男の子がいて、彼と話をするために魔法少女になったんです。
 前に彼が友達の男の子たちと、魔法処女ってカッコいいよな、憧れるよなって
 話をしているのを聞いて、私が魔法少女になったら私に興味を持ってくれ…」

最後まで言い終わる前に、おっさんのビンタが飛んでいた。

「それはね、負け組の発想だよ」

その後、おっさんの説教が一時間も続いた。
途中でどしゃ降りの雨が降ったが、傘もささずに続けた。

おっさんは、コノハに今すぐ魔法少女を辞めるように言った。
そして勇気を出してタクロウ君に声をかけるべきだとアドバイスした。
どうしたらいいか分からないと困る彼女に対し、
適当にスマホで恋愛のコラムでも調べて見なさいと言った。

コノハは家に帰ってから派遣会社の営業に連絡し、今日限りで
魔法少女を辞めたいことを伝えた。営業は「まあ本人がどうしてもって
言うなら、しょうがないですね」とあっさり引いてくれた。

制服は貸与品だから、あとでクリーニングに出してから返却するように言われた。

数日後、勇気を出して手作りのクッキーをタクロウ君にプレゼントする。

「え……、そのクッキー、俺にくれるの?」

その後、コノハは確かに見てしまった。
彼はありがとうと言い受け取ったはずのクッキーを、
焼却炉の中に捨ててしまったのだ。あっさりと、何のためらいもなくだ。

彼女は数日間迷った末に、彼を問い詰めることにした。
ママに手伝ってもらった自信作のクッキーを、なぜ捨てたのかと。

「信じてもらえないだろうけど、
 別にお前のことが嫌いだからじゃねえぜ?」

と拓郎(タクロウ)が言う。

「もし俺がお前からのプレゼントを受け取っちまったら、俺はお前に
 気があるってことになっちまう。というか、そう受け取られる可能性が高いだろ?
 そういうの、まずいんだよな。他の女子たちの目がな。俺は女の子からの
 プレゼントは受け取らないようにしてるんだよ。バレンタインのチョコとかな」

「もしかして森永君は彼女とかいるんですか?」

「森永って誰だよ。俺の名前は相模だ。
 同じクラスなんだから、ちゃんと覚えろよな。彼女なら……いるよ」

「いるの!! 誰? 同じクラスの人!?」

「ばかっ。でかい声出すな!! みんなに聞こえる!!」

クラス中の視線が、彼らの方に集まる。

コノハとタクロウは、算数の時間に上の会話をしていた。
そんな彼らの話し合いがあまりにも面白いので、
担任の女の先生が「どうぞ続きを」と急かしてくる。

「せ、先生!! 続きなんてありませんよ!!
 早く授業を進めてください」

「いえいえ。そうはいきませんよ」

先生は、タクロウが彼女の正体を明かさないと停学にするとまで言った。
(小学校を始めとした義務教育に停学などないはずだが、小説なので気にしないことにする)

タクロウは観念し、カンボジアにあるブッタ像の顔をしながら言った。

「俺の彼女は、魔女さんです!!」

「誰ですかそれは? 魔女って芸名? 芸能人の方ですか?」

算数の時間が終わるまで先生とタクロウの質疑応答が続けられた。
コノハは、一度いいから魔女さんに会ってみたいと思った。
学校中の女子から人気があるのに、一度もバレンタインのチョコを受け取ったことがない
タクロウが付き合うほどの女子。しかも近所の中学に通う中学二年生。先輩である。

タクロウは、担任の女の先生に、明日その人をクラスに連れてきなさいと言った。
連れてこないと退学にするとまで言われ、仕方なくタクロウは首を縦に振る。


翌日。黒いフードをかぶった、怪しげな少女が校門をくぐる。
タクロウの彼女の魔女である。もっとも偽物の恋人関係であるのだが。

「なんと俗っぽい場所へ私を呼んだのだ。
 属にまみれた空気を吸うと吐き気がするではないか。
 タクロウ君。予備のマスクを私によこしなさい」

「あなたがマスクをしたら余計に不審者度が増して職質食らいますよ。
 いいから余計なことは口にしないで、おとなしく着いてきてください」

恋人関係をアピールするために、手を繋ぎながらの登場シーン。
彼らが歩く校門から昇降口までの距離は、
さながらドラマの撮影シーンのように注目を集めた。

「あ、あの!!」

ランドセルを背負ったコノハが立ちふさがる。

「何か用か。俗物」
「ハマーんかーん?」
「誰だそれは。私は魔の一族である」
「あなたが例のタクロウ君の彼女さんなんですか!?」

魔女はコノハの見てる前でタクロウを抱き寄せた。
魔女の胸に抱かれ、甘い吐息を近くで感じるとタクロウは真っ赤になった。
小学生の男子にとって中学生の女子は色っぽく感じるものだ。

「騙されてはいかんぞ。コノハ君」

そこへ登場したのは、魔法少女の格好をしたオッサンだった。

「彼ら二人のことを独自に調べさせてもらった。
 彼らは仮面カップル。偽物だ」

オッサンの説明によると、理由は単純だった。
タクロウは無駄に顔が良いから学校中の女にモテる。
クラスの女子に二人もストーカーがいて、たまに持ち物を盗まれることもある。
特に体操着がなくなることが多かった。体育を終えて汗を吸った体操着が
ストーカー女たちの大好物のようで、放課後までに体操着を拝借するのだ。
当然帰ってこない。

ある日、不自然に体操着がなくなることを不審に思った母が、
息子から事情をきいてある対策を考えた。
「だったら彼女を作ればいいのよ。そうすればストーカーの子達も諦めるわよ」

しかし、女性が嫌いになったタクロウにはこれと言った彼女候補がいない。
少なくとも学校の人は嫌だった。ならば、とタクロウの姉が同級生を紹介する。
その同級生の正体が魔女だった。
魔女はショタコンだったので美形小学生のタクロウは大好物だった。

一方でタクロウもフードを外した魔女は美人だとは思うが、
ただそれだけだった。この人のことを何も知らないし、たまに家に遊びに来ることもあるが、
一緒にお風呂に入ろうとか、添い寝をしてあげるなどと言われるたび、丁寧に断っていた。

クラスで魔女の紹介がされた。

「あなた、私の教え子だった田中さんじゃない」

「先生……。私はそのような名前ではない。魔の世界に生きる…」

「相模君の彼女さんって、田中さんだったのね。意外だったわ」

と言い、先生は魔女をジャイアントスイングした。

「うわあああああああああああああああ?」

魔女は窓ガラスをぶち破って校庭へと落下した。
10分後、保健室から借りた松葉杖をついて教室に戻って来た。
右足の骨に異常があるようだが、今はそれどころではない。

「そこの無礼者。なぜ私に害をなすのか? 前世の因果か?」

「田中さんのしゃべり方はどうしたの? 
 ムスリムみたいな恰好をしてることと関係があるの?」

「答える義務などない!! 言葉で感じるより心で感じるのだ!!」

先生(28歳独身。茶髪をカールさせた美人だが貧乳)は、魔女の八極拳
の基本動作を受け、窓ガラスを破って校庭へと落下した。
先生は中学生に比べたらもう若くないので簡単には起き上がれなかった。

「魔女さんに質問があります!
 魔女さんはどうやってタクロウ君と付き合ったんですか?
 本当に彼女さんなんですか? デートはするんですか?」

タクロウのストーカー女の片割れが元気に質問する。
魔女はそれにこたえる必要はないと言い、代わりに扉を開けた。
入って来たのはタクロウの母、真美だった。

いきなりの保護者の登場にクラスがどよめく。
すでに一時間目の国語の時間となっていたが、どうでもよかった。

「私は母として、タクロウと魔女ちゃんの婚約を認めました」

三秒後、女子たちの間で怒声が、男子達の間で盛大なため息が、
それぞれ発生した。男子達の反応としては「モテるなイケメン」
「年上まで落としちゃうのかよ」「世の中やっぱり顔かよ」と言った声が。

女子の間では殺伐としていて「タクロウ君、趣味悪すぎだよ~」
「うっそ。あんな中二病女が好みなのぉ?」「ありえないよね~」
などと言いながら、魔女に吹き矢を飛ばす人もいた。
サソリの毒入りのそれを、魔女はなんとか回避した。

「な、なあ母さん……」
「どうしたのタクロウ? 顔が赤いけど」
「説明してくれ!! そのコスプレはどうしたんだ!?」

タクロウの母は最近34歳の誕生日を迎えたばかりの美人だが、
魔法少女の衣装を着ていた。魔法少女採用試験に合格したからだと母は説明したが、
タクロウは息子として全く納得できなかった。
母は年の割に綺麗だと世間では定評があるのを知っているが、
それにしても30代半ばになる女がミニスカートから生足を出すなど。

「それに関しては私が説明しよう」

また、おっさんが現れた。
例によって魔法少女の恰好をしている。

「正義を愛し、悪を倒したいというピュアな心は誰だって持っている。
 魔法少女になるのに年齢なんて関係ないのだよ」

タクロウはランドセルに荷物を入れて、帰ることにした。やってられないのだ。

「逃げんじゃねえよ卑怯者!!」

クソ野郎だ。

「今日はタクロウのせいでクラスはめちゃくちゃだ!!
 お前のファンだったクラスの女どもはご覧の有様!!
 魔女先輩に嫉妬してカミソリ入りの封筒を送りそうな勢いだぞ!!
 てめえ、このイケメン野郎!! どう責任を取るつもりだ!!」

「お、俺のせいじゃねえよ!! 
 俺はもうこの六年三組に関わりたくないんだ!!」

「ごほっ!?」

タクロウはすれ違いざまにクソ野郎に腹パンし、一目散に逃げだした。
魔女を置いて行ってしまうことになるが、もうどうでもいい。
一週間くらいは家に引きこもるつもりだった。

「おかえりなさい」
「あれ……?」

家に帰ると、まだ10時過ぎなのにキッチンに立ち、
お昼ご飯の用意をしている人がいた。クラスメイトの佐藤コノハだ。
クラスで一番のチビだが、エプロンをしていると中々に様になる。

「あなた、今日は小学校はどうしたの?」

むしろおまえがどうした……?
タクロウは突っ込みたいのをこらえた。

まず時間軸がおかしい。タクロウは小学校から全力で家まで駆けた。
彼の足の速さは県の代表に選ばれるレベルである。コノハがあとから
追いついたとは考えにくい。そもそもなぜタクロウの自宅にいるのか?

「私は魔法少女なの。モト、だけどね。人とは違う、
 特殊な力を使うことができる。私の能力は空間跳躍。ワープだよ。
 タクロウ君の家に来た目的はね…」

タクロウは彼女が最後まで言い終わる前に駆け出した。
急いで走っていたら、交差点を曲がろうとしたトラックに衝突し、
彼の体は用水路へ吹き飛ぶ。用水路から川へ流れた彼の体が発見されたのは
三日後だった。仮死状態だった彼の体を救ってくれたのは、
暗ガールと呼ばれる魔法少女だった。癒しの魔法を使うことができる。

「すぐ終わるわ。じっとしててね?」
「んっ……」

仮死状態の彼を蘇生したのはキスだった。
唇を重ね合うことで生命エネルギーを送り込むことができるのだ。

「大丈夫? 意識はあるよね」

「はい……。ありがとうございます。
 お姉さんが助けてくれなかったら、本当に死ぬところでした」

腰にまで達する黒い髪の毛を、無造作に垂らした暗ガール。
前髪が長すぎて目元がほとんど隠れてしまっている彼女が、
タクロウには天使に見えてしまった。タクロウは生まれて初めて女性に恋をした。

「き、綺麗なお姉さん。僕と付き合ってください」
「へ!?」

暗ガール、別名根暗ちゃんは頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けた。
そんなつもりで彼を助けたわけではなかった。今日は授業をさぼる口実に
魔法少女のボランティアを入れて、その辺をうろついていたところだった。
ちなみにこの世界では、魔法少女の仕事をしていると言えば学校での授業は免除される。

「ごめんね。私は年下の男の子に興味はないから」
「うっ……」
「え?」

突然タクロウは胸を抑えて倒れこんだ。
いわく、根暗ちゃんに振られたショックで心臓発作を起こしたらしい。
治す方法は簡単で、根暗ちゃんがタクロウの彼女になってくれたら治るという。

「こら。年上の人をからかうのも言い加減にしなさい?」
「そうよ。そんなブスで地味な女はダメだよ。タクロウ君」
「タクロウよ。汝とは母上の了承のもと、末永く共に過ごすことを誓った身である」

いきなり二人増えた。
まずはコノハ。そしてタクロウの彼女の魔女だった。

「おい、お前らの後ろに何かいるぞ?」

ついに現れたのだ。五輪強硬開催のせいで増えすぎたウイルスが。

「きしゃあああああああああああ!!」

と吠える、黒づくめの日本型ウイルス。黒いタイツに身を包んだ成人男性に似ている。
名探偵コナ〇に出てくる、犯人役の人にそっくりだ。

「ふ……ついに現れたか。人にして人有らざる者たち。
 貴様らがいるべき場所は、現生ではない。立ち去れええいい!!」

魔女はワンパンをくらって吹き飛ばされ、近所の塀に激突した。
強そうな口調とは裏腹に弱かった。

タクロウは、塀にめり込んだ魔女に言った。

「やっぱり別れてくれ。俺には好きな人が出来てしまったんだ」
「それって私のことだよね? タクロウ君」
「ちょっと違うかな」
「ええー」

コノハもウイルスにワンパンを食らって吹き飛んだ。
数日後、彼女は九十九里浜で発見されることになる。

(ここは私が何とかしないと……)

根暗ちゃんは、指を空でキリ、詠唱をした。
すると、ウイルスがぼっと燃え上がり、手や足が千切れていく。
ウイルスは「んがー」とか言いながら苦しみ絶命していった。

「さすがお姉さんです」
「こんなの、魔法少女の初歩だから誰でもできるんだよ」

「魔法少女って素敵ですよね!!」
「そんなことない。こんなのお金にならないボランティアだし」

「お金にならないのに頑張ってるって素敵なことだと思いますよ!!」
「私は学校の授業をサボってるんだよ。それでも素敵?」

「素敵に決まってるじゃないですか!! お姉さんは顔も綺麗で美人です」
「美人……? 私が美人……?」

「はい!! 俺お姉さんの顔大好きですよ!!」
「……君の名前は?」

「相模タクロウです!! 小6!! スゴガモ小学校に通ってます!!」
「スゴガモだったんだ。私は南小出身」

「へぇ。お姉さんは南小出身だったんですか。あっそうだ。このあと時間あります?
 良かったうちに寄って行ってください。美味しいケーキがあるんですよ」

「ケーキ?」
「あっ、ケーキは嫌いですか?」
「好き……すごく……好き。行く」

こうしてタクロウは年上のお姉さんをナンパすることに成功した。
近い将来ナンパ師になりそうな少年である。

それからというもの、二人の仲はすっかり親密になった。
タクロウは毎日彼女とメールをした。たまに電話もする。

もうクラスの女子たちなんてどうでもよかった。体操着を盗まれても、
いつの間にかリコーダーの先端だけ消えていても、全然気にならない。

50代の男性が、魔法少女の選考試験を受けたらどうなるのか?

50代の男性が、魔法少女の選考試験を受けたらどうなるのか?

舞台は令和20年。令和3年の東京五輪を強硬開催した日本。 先進各国が出場を辞退する中、近隣のアジアの国々は参加してしまった。 大会終了後、新型の日本型ウイルスを自国に持ち帰った選手らによって、 全世界を再びコロナの災厄が襲った。 令和20年には世界で20億人が死んだ。 日本型ウイルスの正体とは……悪魔の形をした謎の物体だった。 そしてそのウイルスを撃退するため、 選ばれし少女たちが魔法少女へ変身して世界を救う。 しかしながら、魔法少女とはアニメや漫画で見られるような ファンタジーめいたものではなく、とある派遣会社で管理されている 職種の一つであり、まず魔法少女になるためには面接が必要だった。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • アクション
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-05-30

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

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