営み
きたないものに対する嫌悪が、時折、きれいなものに発動することもあって、夜とは、私たちの世界なのだと、わがものがおで呼吸する、夜のバケモノが、きまぐれにみせてくれる夢が、そういう感じである。眠らないように、コーヒーを何杯も飲んでいるあいだにも、脳の、もう、まるっきり、にんげんの指先すらも介入できないところから、バケモノたちに支配されてゆく。花の首輪で絞められた、きみが、安っぽいコピー用紙を想わせる、青白い顔で、微笑んでいて。野原。いつも、ひとりで遊んでいる、こぐまと、手を繋ぎ、なにかの儀式みたいに空を見上げていた。
星はきれいね。
月も。
あの星ひとつひとつに、でも、生きているものがいるとは限らない。
月も。
ならば、生きているものがわんさといるこの星は、すてきだね。
生きているものがいっぱいいるからって、すてきだとは限らない。
しあわせがたくさんある。
そのぶん、ふこうもある。
愛も。
裏切りも。
やさしさも。
憎悪も。
生も。
死も。
性も。
詩も。
吐息のように、ことばはこぼれて、きえる。
営み