片想いマニア
片想いを集めるおんなのこの話
片想いマニア
「申し訳ないけど、貴女の気持ちには応えられないと思うの。」
伸びかけの前髪の隙間からちらと覗く上目遣いの眼差しは、海を揺蕩うクラゲのように泳いでいた
ぱっと咲いてはあっという間に散っていく桜のような恋、灼けつく日差しのような恋、じわじわ色づいていく紅葉のような恋、そしてしんしんと積もりゆく雪のような恋
今回はどの季節かな、と想像しながら私は毎回恋をする
「やっぱりそうだよね…、残念だなぁ。今日のことはヒミツね!」
にこ、と私が笑うと彼女は心底安心したように顔をあげた
この子は夏の子
だって揺らめいた視線はクラゲだし、日焼けしない肌は白い雲だから
片想いマニア
主人公は女子校の王子様みたいな中性的な女子生徒で、好きでもない友達、先輩、後輩、その他もろもろの女子生徒に声をかけては失恋する。
本人に恋愛感情はなく、この子への片想いはどんな恋なのかという好奇心で動いている。
みんなのあこがれの人なので、悪い噂が広まることもなく、彼女は今日も片想いを集める。