まだだよ

春風ひまり

中学の入学式の日に私の人生は変わった。
悪い方向に。

中学の入学式の日に私の人生は変わった

ごっめ〜ん
遅くなっちゃった
花梨(かりん)まったっしょ?
ごめんね〜
早く行こ〜

最後に会話したのはこんなのだったっけ…
もう忘れちゃったよね。
もう3年前の話か。
今日から私も高校生っかぁ〜

知り合いのいない田舎の高校へ入学した花梨はふと都会にいた頃を思い出す。
中学の入学式の日大切な人を失った。
過去のことを何も知らない人と関わった方が思い出さなくて気が楽だと思い田舎の学校へと来たが、結局いつも通り思いだす。

目の前で轢かれた親友。
夢だと思って、何度探しても何処にも見当たらない。
暗い世界の中を1人でさまよっている感じだ。
教室を開けたら彼女がいると信じて、教室へのドアを開ける。

今日は中学の入学式
親友の向日葵(ひまわり)とそこの交差点で待ち合わせしてる!

『少し早く着きすぎちゃったかな?まぁすぐ来るだろうしまってよ』

あっ向日葵〜
おはよっ!
早く行かないと遅刻するよぉ〜!

ごっめ〜ん
遅くなっちゃった
花梨まったっしょ?
ごめんね〜
早く行こ〜


なんでだろ。
目の前の電柱は倒れてる……
赤色の水が飛び散っている……

あれ向日葵は?
どこ?どこにいるの?
大丈夫だよね……?


次見た景色は絶望そのものだった
そのまま1ヶ月は家にずっといた……のかな。

よく分からない
ふわふわする……

ここどこだろう。
青い海が広がってるな……
空がいつもより近いみたい
早く向日葵に会いに行きたいな…
海に早く行きたいな……


あれ……
ここどこだろ…
白い天井が見える
ベッドの上……?


初めて学校来たかも
向日葵の席どこだろ…
これからも沢山遊ぶんだもんね…
約束したよね

別の場所に居るだけ……
そう信じていないと…


はぁ…
いつの間にか来た夏休み
カレンダーは白紙のままだ。


誰か来た。
誰だろう……
あれ誰もいない…

花梨は中学に馴染めずどこにいても孤独だ
幼なじみがいるわけでもない
元から孤独だった私にとって、こんなの日常か。


消えない何かがある
赤…黒……あれ
なんだろ……
もう分からなくなってきた。

どこにも無い
けど、どこかに居る
そんな誰かを探しているのかな……

誰だろう……
どこにいるんだろう……
ぼやぼやして…る…

次目覚めたのは10月だった。

そのまま倒れてしまってたらしい
周りでみんなが泣いている
どこかで見たことあるような景色だ。
最近……なのかな。

曖昧な記憶のまま起き上がろうとする。

(あれ……体が重い……動けない……)

早く行かなきゃ行けない場所があるのに……
あれどこに行きたいんだっけ……
ここってどこだっけ……

聞いた話によると病室……らしい
正直ほとんど記憶が無い。
鮮明に覚えているのは中学の入学式の日のことだけだ。

早く学校にいかないと
みんながまってる……
あれみんなって…誰だろう…


退院までは早かった。
1月頃からは学校にもいけるらしい。
行きたくもないし、楽しくもない。
なんで行くんだろ……

すぐに正月は明け、学校が再開した。
花梨にとって、約5ヶ月ぶりの学校だ。

教室の前でやはり立ち止まってしまう。
入りたくないって体が言ってるみたいで
入ったら何かが変わってしまうような気がして……

結局そのまま学校には行けてない。
というか行く気が起きない
家で一人でいた方が楽
気を使わなくて済むし

学校に行くこと自体を体が拒否してる。
行きたいとも思わないけど


ふとした時に崖の上とか高いところから飛び降りたら楽になれるのかなって考える自分が嫌い。
すぐに逃げようとする自分が嫌い。

今は家に親もいない
キッチンにいこうかな…
楽に…なれるもんね。

取り出したのは1本のナイフ。
手首から血が沢山出ている。
けど全て忘れられるからこの時が1番楽だ。

生きているだけでも辛い。
けど死ねない愚か者
自分の居場所はどこにあるのかな……


そんなことを考えて時間が過ぎる
なにかをしている訳でもないのに時間の進みが早く感じる。

家の周りには桜が咲いている
覚えてないのに、またこの季節がきたと感じるのは気のせいかな……
どうせ学校にはいかない。
行っても辛いだけだから。

その日から1年なんてすぐにたった。

また桜が咲いている。
夏の気温も、秋の紅葉も、冬の雪もほとんど何も覚えてない。
というか見ていない……

今年は受験生か……

田舎の学校なら安全かな……
ふとつぶやく。

花梨の学校に行きたくなくなった理由の1つはいじめだ。
向日葵と一緒にその場にいた事だけで殺人鬼扱いされ、学校には居場所が無い状態だった。
元々メンタルが強いわけでもないし、親友が亡くなったショックでメンタルはズタボロだったところだったから余計に心に重くのしかかっているのだろう。

田舎なら逃げれる
まだそんな余裕があっただけ良かった。

誰かから言われたような気がした。
周りを見ても誰もいない。
気のせいだったのかな?と思いまた高校受験のために勉強を始める。

中学1年の問題ですら曖昧な状態でどこから手をつければいいか分からない状態だった。

ここはこうして。あっここはこう。これはこうやって解くんだよ

誰かが教えてくれる。
いつも少し切なそうな声だ。
誰かは分からない。だけど、どこかで聞いた事のある声なのは確かだった。

分からない所は全て教えてくれる。
私のことも知っている。
時々その子が『まだだめ』とつぶやいている時がある。
なにがダメなのかよく分からない。
けど、いつか分かるのかなとそっとしておいた。

また新たな春が来た。

無事志望校に合格できた。
けど、その後から教えてくれた子の声は一切聞いてない。
少し心配だ。

入学式の日。
新しい気分で来たはずだった。
誰も知らない。私のことも過去のことも。
だから安心だと思ってた。

親友が迎えてくれる。
そう信じて教室のドアを開けた。
どこを見ても向日葵はいない。
けどどこかに居るって信じて探し続けた。
信じたくない。信じられない自分がまだ居た。
春の時期が花梨は苦手だ。
いつも悲しくなるのは春ばかり。
春の記憶だけはいつでも鮮明に覚えているから

その後高校には毎日通い続けた。
もう少しで夏休みが始まる。

去年のこの頃を思い出す。
毎日のように勉強を誰か分からない声に教えて貰って、頑張って覚えて……
声の子が誰かも分からないのに会ったことのあるような気がした。
よく聞いてた声な気がする……
けれども覚えていない……
誰なんだろう。


今高校もあんまり楽しくはない。
なんでかは自分でも分からないんだけど…

明日から夏休み…か

空がいつもより近いな。
下には青い海が広がってる。
もうこれで楽になれるんだよね……

高校でも疲れた花梨は少しでもいいから楽になりたいと、キッチンへとむかって、ナイフを取り出して自分の事を傷つける。
正直バカバカしいと思ったよ。
だけど、逃げ道が見つからないんだ。

いつも私は1つの逃げ道へとむかう。
毎回同じ場所で、同じことをする。
それの繰り返しで生きている。

けど今日だけはいつもと違う場所に来てる。
全てが嫌になって終わらせたいから。

ここから飛び降りれば楽になれるよね。
そうつぶやいて、私はそのまま飛び降りた。
途中で、勉強を教えてくれた子の声がした。
その子はいつものように『まだだよ』って言ってる…

いやこの声は向日葵の声だ。
すぐにそっちにいくからね。

その後花梨は3年と少し前の向日葵のように永遠の深い眠りについた。
いつまでも2人は親友。

花梨が亡くなったのはひまわりのさき始めた夏の頃だった。

まだだよ

読んでいただいてありがとうございます!
初めてちゃんとしたものを書いた気がします……!

これからマイペースに投稿していくと思うので、よかったらぜひ!

また気づいた方もいるかもですが、名前の由来は花言葉からきてます!
よかったら調べてみてください!

まだだよ

初めて小説として書きました。 普段は語彙力皆無の限界オタクです!

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  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-05-21

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