宇宙壊胎

私にとって、

傷付くことと癒えることは同義だった

追いかけることと諦めることは同義だった

手に入れることと奪うことは同義だった

正すことと歪めることは同義だった

生きることと殺すことは同義だった。

綺麗であると同時に汚くもある

軽蔑していると同時に憧憬している

あらゆることに無頓着でいられたら

一切を受け入れることができるのに。

私はまた自分の均衡を、秩序を

壊そうとしてしまう。壊すことでしか

愛することができないから。

すべてを正視すること、それを取り込むこと

等しく価値があり、等しく価値がないと見なすこと

みずからが宇宙であること

私はそういった錯覚の中でしか

愛することを愛することができない。

宇宙壊胎

宇宙壊胎

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-05-21

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