死繍

俺を無視するな、とそいつは喚いている。繰り返し喚いている。私はその光景を他人事のように眺めている。"同類の他人ではなく、同一人物であることを自覚したうえで"、私は敢えて、そういう態度を取っている。それが誠実だと思っている。誤解を真実と見なしている。そうすることでしか、私は私をやり過ごすことができない。

死繍

死繍

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-05-17

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