悲恋

秘鑰

悲恋

それは情動の狭間。盲目の讃美歌。罪過を極めた泡沫の劇場。

それは予兆もなしに

それは予兆もなしに

不可解だ。

どうして君たちのように純真でまっすぐな瞳を持つ人が、小さな石ころには(つまづ)かないのに大きな岩にはぶつかるのだろう、と。

まるで白昼夢に恋の狂人どもが現れて、ピュアな心を不純な渇望へとミスリードするかのように。

恋の奈落に溺れた者たちは盲目な楽観主義者へと変貌を遂げ、幽玄な刹那を舞う。
さながら幻想に翻弄されながらも其々(それぞれ)の悲劇を成し遂げて、知り得るだろう。


----悲恋はどうしようもなく制御不能な触媒で、人間を哲人へと昇華させる甘美な絶望だと----


哲人になった私は閑静な部屋の片隅で深く椅子に腰掛けて、この傍若無人な恋の輪廻を微笑ましく、穏やかな顔つきで追憶に(ふけ)っていた。

悲恋

失恋風景を私の妄想に委ねて執筆した結果、皮肉ったタイトルになってしまった。しかしこのタイトルは意外にも気に入っている。この作品から何を感じ、どう思われたかについては読者である貴方の精神、心の宝庫に保管してもらいたい。そしてふと思い出した時に再び読んでみれば、前回とは違った視点で読解して頂けるのではないだろうか。

悲恋

失恋エンドレスワルツ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-05-16

CC BY-NC-ND
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