ある日の夢

しめさば

落ち着いたテンポの呼吸音
指がピクリとも動かないのを
ただ享受するだけの馬鹿な頭

感じたくないな
でも本当はさ
からだの中のもの全部吐き出して
絞り切って最後に残ったもの
さらにその隅にある
気にもとまらないような
鈍く輝く残り滓
これは言葉にしてはいけない

凍えている
そうしたくてしているんだけれど
うとうとしたまま
眠りが深く深く
海面下二〇〇メートルを超えた頃
そっと教えてくれる
無遠慮に差し込まれる視線
眉間と背中の間が震える
陶器のような美しい手で
心臓を撫でられたようだ

揺蕩う一定の体温
気持ちがいい
きいたことのない音がよくきこえる
見たものはあまり思い出せない

ある日の夢

ある日の夢

「砂海の歪みで」より 2021年

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-05-12

CC BY-NC-ND
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