Namida
貴方の中に少しでも映像が流れたら嬉しいです。
何が正しくて、
何が正しくないのかなんて、
今の私には解らない。
「おい。」
「へ?」
屋上でコンビニのおにぎりを食べている途中だった。
いつも話している子達より、少し低い声が聞こえてきた。
「隣、いい?」
隣のクラスの櫻井くん。
おお。
久しぶりに男の人と会話した。
「……、どーぞ。」
少し顔を上げて顔を確認すると、すぐにおにぎりに目を落とした。
今日は凄い天気がいい。
蒼すぎる空には白の雲が凄い目立っている。
今からあの雲の上にいって眠れたらどんなに気持ちいだろう。
いや、雲の上で寝ることは出来ないって解ってはいるよ、、?
「「……………。」」
そういえば何故あの櫻井くんが屋上に来たんだろう。
櫻井くんはとても有名人。
全国模試の結果は一位だったとか、
部活動には所属していないのに学校でのマラソンは陸上部を抑えて一位だとか、
伸びた前髪に真ん丸の眼鏡のしたは実はイケメンではないのかとか、
…………、
最後のは私の推測だけれども…
「なぁ。」
「ん?」
「国際科って大変なの?」
「…………なんで?」
突然の質問だった。
私の通う学校は普通科と国際科が存在する。
普通科は1~4組まで国際科は5組でクラス替えはない。
そして毎年国際科の生徒は女子の割合が多く、男子は3人ぐらいしかいない。
だからなのか、まぁ…問題は絶えない。
「……いや。」
私も問題はあった。
しかもつい最近。
いつもいたメンバーに裏切られた。
あんまり気にしていなかったつもりだったけど、この前この屋上に来たとき、今日みたいに晴れていて思わず泣いてしまった。
こんなに人というものは恐いのだと、初めて知った。
でももう引きずらない。
女々しいのは嫌いだ。
でも、やっぱりご飯は皆で食べていたときの方が美味しかった。
一人は怖くないけど、誰かといた時の暖かさを知ってしまったから、少し心が痛いんだ。
「あ。」
「ん?」
「んーん。」
思い出した。
櫻井くんはあの時…、私が声をあげて泣いていたとき、ここにいたんだ。
「ねぇ、櫻井くん。」
「俺の名前知ってたの?」
「名字だけね。」
「…うん。」
櫻井くんは名字を呼ばれたことに少し驚いた顔をしたように顔をパッとあげた。
「櫻井くんは自分に自信を持った方がいいよ。」
「は?」
私の言葉に、櫻井くんは疑問符をたくさん浮かべて少し大きな声をあげた。
「あ、髪止めどこやったっけ…」
鞄の中を手当たり次第探り回すと、小さいゴムを見つけた。
「櫻井くん。動かないでね。」
櫻井くんの長い前髪を掴み、ゴムで縛り上げた。
最後に伊達の眼鏡を外してやった。
「やっぱり、あの時いたのは櫻井くんだったんだね。」
泣いていたとき、私は屋上のもうひとつ高くなったところでただ空を見上げていた人をみた。
でも、その人をこの学校で見たことはなかった。
「そんなに綺麗な顔してもったいない。」
「………っ」
櫻井くんはただビックリした顔をして口をぱくぱくしていた。
「ありがとう。櫻井くん。」
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綺麗な涙をみた。
国際科の子だということはわかった。
前から少し気にかかっていたから…
なんで泣いてたの?
なんであんなに泣いていたのに笑えるの?
なんで君は…、
仕方ない、この顔も君のためなら晒して歩こう。
どうやら恋に落ちてしまったみたいだから。
心の中では君が正しい道へと導いてくれるのだから。
.
Namida
これが一番最初の作品になります。
僕は彼女の心を描きたかった。
僕の中では女の子って強く生きているというイメージだったので辛くとも笑顔…と、彼女を無理に笑わせてしまわないようにと、あえて笑うなどの表現はいれませんでした。
彼女は基本男の子と面識はありません。
勿論、彼女はとても美しい女性です。
でもまわりには正直に彼女に美しいと言ってくれるトモダチはいなかった。
妬みや僻み。そんなものが渦巻く女の世界というものも描いてみたかった。
僕も女性にトラウマがあるからですかね。
そうそう、櫻井くんはその後素顔を見せていきました。
彼は人が恐いんです。
感情のある人間はいつかどこかへ行ってしまう…
と少し寂しがりやな所もある可愛らしい男の子です。
これから彼は成長してくと思います。
ありがとうございました。
12/11/28