グッバイ、マイ・ディア・リベンジャー(Goodbye, My Dear Revenger)

にがつ

グッバイ、マイ・ディア・リベンジャー(Goodbye, My Dear Revenger)
  1. 台本概要
  2. 登場人物一覧
  3. 用語解説
  4. 上演貼り付けテンプレート
  5. アバンタイトル:士官学校にて
  6. シーン1:機体発進
  7. シーン2:終わる日常
  8. シーン3:そして、彼女は動き出す
  9. シーン4:戦地へ
  10. シーン5:戦争屋は笑みを浮かべる
  11. シーン6:邂逅
  12. シーン7:親友
  13. シーン8:再会の約束は、仇討ちの約束
  14. シーン9:宿命
  15. シーン10:復讐の果てに

台本概要

 ◇台本名◆
  オムニバス形式単発台本シリーズ『フラグメント・ストーリーズ ~アンドラスタ群像劇(ぐんぞうげき)~』
  グッバイ、マイ・ディア・リベンジャー(Goodbye, My Dear Revenger)

 ◆作品情報◇
  脚本:にがつ
  上演所要時間:30~35分
  男女比 男:女:不問=2:2:0(総勢:4名)

 ◇シナリオ要素◇
 ファンタジー / ロボットバトル / 戦争 / シリアス / バトルシーンあり / 叫びセリフあり / 長台詞あり

 特記・注意事項
  ◎暴力的・残酷(ざんこく)な表現があります。
  ◎配役によって叫びセリフ、バトルシーンあり
  ◎世界観を壊すような、また他の演者様に迷惑をかけるようなアドリブは禁止
  ◎台本の自作発言・無断転載、および台本への誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)は禁止
  ◎台本の著作権は、作者である「にがつ」に帰属します。
  ◎この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

登場人物一覧

 ◇登場人物◆

  ジェーン・ドゥ(Jane Doe)
   性別:女性、年齢:17歳(少佐時代は23歳)、台本表記:ジェーン
   本作の主人公で、エミネンス=グローリア帝国士官学校・【魔導機甲(まどうアーマー)操縦士(そうじゅうし)課程に在籍(ざいせき)している。
   両親に捨てられスラム街で孤児(こじ)として生きてきたが、魔力を持っていたことから徴兵(ちょうへい)で帝国軍に入隊した。
   ささやかな幸せを何よりも大事にしている。

  アラン・スミシー(Alan Smithee)
   性別:男性、年齢:30歳、台本表記:アラン
   謎の組織【亡国機関(ぼうこくきかん)】と協力関係にあるフリーランスの傭兵(ようへい)で、元は帝国軍の【魔導機甲(まどうアーマー)】部隊所属の軍人
   だった。「戦争屋」を自称(じしょう)とし、戦いのためならば故郷を滅ぼすことを(いと)わない。
   飄々(ひょうひょう)とした(つか)みどころがない人柄から胡散臭(うさんくさ)い印象を受ける。
   一方で頭の回転がとてつもなく早く、特に戦闘に関してはそれをいかんなく発揮(はっき)する。

  メアリー・スゥ(Mary Sue)
   性別:女性、年齢:17歳、台本表記:メアリー 
   ジェーンの唯一の親友で、エミネンス=グローリア帝国士官学校・【魔導機甲(まどうアーマー)操縦士(そうじゅうし)課程に在籍(ざいせき)
   明るくて親しみやすい性格ではあるが、根は臆病(おくびょう)である。

  スコット・J・クロフォード(Scott J Crawford)
   性別:男性、年齢:18歳、台本表記:スコット
   エミネンス=グローリア帝国士官学校・【魔導機甲(まどうアーマー)操縦士(そうじゅうし)課程に在籍(ざいせき)する貴族の息子。
   ジェーンのせいで士官学校の成績が万年2位となっており、勝手にライバル視をしている。
   のちにジェーンの部下となる。

  男性教官(※スコットの兼役)
   性別:男性、台本表記:男性教官
   エミネンス=グローリア帝国士官学校の男性教官。

  女性教官(※メアリー・スゥとの兼役となります)
   性別:女性、台本表記:女性教官
   エミネンス=グローリア帝国士官学校の女性教官。

  男性部下(※スコットの兼役となります)
   性別:男性、台本表記:男性部下
   アラン・スミシーの部下で、【魔導機甲(まどうアーマー)】の操縦士(そうじゅうし)

  女性部下(※メアリー・スゥとの兼役となります)
   性別:女性、台本表記:女性部下
   アラン・スミシーの部下で、【魔導機甲(まどうアーマー)】の操縦士(そうじゅうし)

  女性帝国兵(※メアリー・スゥの兼役)
   性別:女性、台本表記:女性帝国兵
   エミネンス=グローリア帝国【魔導機甲(まどうアーマー)】部隊の軍人で、少佐となったジェーンの部下。

用語解説

『アンドラスタ大陸』
 物語の舞台となる大陸の名前で、【地神(ちじん)】アンドラスタと4人の子たる神たちによって創られた。
 ロゼッタ大公国、エミネンス=グローリア帝国、龍櫻國(りゅうおうこく)、ユグドラシル諸部族連邦、グラディス聖教王国
 の5つの国が中心となっており、それらは【五大国(ごたいこく)】と総称されている。

『エミネンス=グローリア帝国(Empire of the Eminence=Gloria)』
 【機神(きしん)】エミネンスによって創設された『機械』と『軍事』の国で、別名【機鋼(きこう)国家】。
 【五大国(ごたいこく)】のひとつで、大陸の中で最も進んだ文明と兵力を持つ。

『ロゼッタ大公国(Grand Duchy of the Rosetta)』
 【女神(めがみ)】ロゼッタによって創設された『魔法』の国で、別名【魔導(まどう)国家】。
  最も魔法技術が進んだ国で、王族を含めた国民全員が魔法を使用することが出来る。

『魔導機甲(まどうアーマー)』
 エミネンス=グローリア帝国で開発された機械兵器であり、操縦者(そうじゅうしゃ)の魔力で操作する。
 魔法が使用出来ない帝国民の中で極稀(ごくまれ)微弱(びじゃく)ながら魔力を持つ者が存在し、機体の背中に付属された
 【魔力増殖炉(まりょくブースター)】によって魔力を増幅(ぞうふく)することで操縦することを可能にする。

上演貼り付けテンプレート

台本名:グッバイ、マイ・ディア・リベンジャー
URL https://slib.net/106214

【配役】
 ジェーン・ドゥ(♀):
 アラン・スミシー(♂):
 メアリー・スゥ(♀):
 スコット・クロフォード(♂):

 男性教官/男性部下:※スコットの兼役です。
 女性教官/女性部下/女性帝国兵:※メアリーの兼役です。

アバンタイトル:士官学校にて

―場所は、エミネンス=グローリア帝国士官学校の教室。
士官候補生(しかんこうほせい)達は軍人らしく姿勢良く座り、真面目な顔で教官の講義を聞いていた。

男性教官:我々が生きる世界では【魔法】は存在し、使えるのは【魔導(まどう)国家】ロゼッタ大公国の者達が多くを()める。
     また、公国には(おと)るが他国でも使用できる者が一定数存在する。
     だが……我々、エミネンス=グローリア帝国民は違う。
     大いなる【機神(きしん)】エミネンスの加護を受けた我々は、高度の文明を得たのと引き換えに唯一(ゆいいつ)
    【魔法】を使用することが出来ないのだ!

ジェーンN:徐々(じょじょ)に興奮した口調で声高(こわだか)になる教官。
      この講義を受けている者ならば、彼が話している内容は常識。
      相変わらず、長々(ながなが)とつまらない講義が得意なモノだ。

男性教官:公国の魔法開発は(いちじる)しい発展をとげており、その脅威(きょうい)は拡大しつつある。
     だが、我々も遅れをとるわけにはいかない!
     そこで対抗(たいこう)するために産み出された新兵器――【魔導機甲(まどうアーマー)】なのだ!!
     これは帝国民には本来持ち合わせていない、微弱(びじゃく)ながらも魔力を持つ貴官(きかん)らが操縦することが出来る!!

ジェーンN:本当にこの教官の講義は苦手だ。
      お国自慢が始まると、耳障(みみざわ)りな大声を出すからだ。
      ――昔、スラム街で聞き飽きた下品な大人たちの怒鳴り声と一緒。
      だから、苦手だ。

男性教官:技術開発部(ぎじゅつかいはつぶ)が新たに製作した、機体の背中部分に備え付けられた【魔力増殖炉(まりょくブースター)】で、
     貴官(きかん)らの微弱(びじゃく)な魔力を増幅(ぞうふく)させ、
     アーマー自体に十分な魔力を供給することが出来るようになった!!
     君たちのことを「異端(いたん)」と呼ぶ者がいるだろう。
     そんなのは言わせておけ! 貴官(きかん)らは――

ジェーンN:――「貴官(きかん)らは〝選ばれた者たち〟なのだ!!」
      此処(ここ)は、【機鋼(きこう)国家】エミネンス=グローリア帝国軍士官学校、【魔導機甲(まどうアーマー)操縦士(そうじゅうし)養成課程
      ――通称(つうしょう)『アズラエル飛行隊』。


ジェーン(※タイトルコール):グッバイ、マイ・ディア・リベンジヤー

シーン1:機体発進

士官学校候補生(しかんがっこうこうほせい)専用訓練魔導アーマー【アークエンジェル】のコクピット内。
―操縦席に座っていたのは、ジェーン・ドゥ。

女性教官:ジェーン・ドゥ准尉(じゅんい)、準備はいいか?

ジェーン:はい!

女性教官:それでは始めろ。

ジェーン:了解しました!

―ジェーンは深呼吸を一回する。

ジェーン:セット・オン。

ジェーン:魔力同期(まりょくどうき)を開始――シンクロ率、12、29、55、78、89……100%

ジェーン:魔力増幅炉(まりょくブースター)を起動。

ジェーン:供給フェーズへ移行する、接続を開始……うっ……

女性教官:どうした?

ジェーン:大丈夫です、何でもありません。

ジェーンM:やっぱり、いつまで()っても慣れないな……自分の身体から何かが()られているような感覚――気持ち悪い。

ジェーン:魔力供給完了、起動します。

ジェーン:士官候補生、ジェーン・ドゥ准尉(じゅんい)、訓練型【魔導機甲(まどうアーマー)】・【アークエンジェル】、発進!!

シーン2:終わる日常

―訓練終了後。

ジェーン:ふぅ、今日も無事に終わったぁ~
     さて、自由時間はまだあるし……寮に戻る前に商店街にでも寄ろうかな?

メアリー:ジェーン!

ジェーン:んっ、メアリー。

メアリー:お疲れ様!

ジェーン:うん、お疲れ。そっちも訓練終わったの?

メアリー:ちょうどさっきね。そういえば聞いたよ~
     またスコアを更新したんだって?

ジェーン:たまたまだよ、運が良かっただけ。

メアリー:相変わらずの謙遜(けんそん)ですこと~
     てか、たまたまとか言うけど士官学校が始まって以来の最高記録をたたき出すとか凄すぎでしょ。
     たまには調子に乗っちゃいなよ!
    「私、優秀ですから当然」、みたいなさ!

ジェーン:嫌だよ。
     それに、調子とか乗ると万年2位の貴族様がイチャモンをつけてくるでしょ?

メアリー:あぁ、スコットのことね。

ジェーン:あいつ、事あるごとに「孤児(こじ)のくせに生意気(なまいき)だ!」って。
     めんどくさい事には極力(きょくりょく)関わりたくないの。

メアリー:その気持ちは分かるけどさぁ……でも、それにしても周りに壁を作りすぎだよ。
     みんな、ジェーンのことを誤解している!

ジェーン:別にいいよ、そんなこと。

メアリー:でも!

―溜息をつくジェーン

ジェーン:あのね、メアリー。

メアリー:な、なに?

ジェーン:私は十分幸せだよ。

ジェーン:親に捨てられた孤児の私が、今ではこの国を守る軍人になっている。
     血が(にじ)むような(つら)い訓練があるけど、明日(あす)衣食住(いしょくじゅう)を心配する必要もない。
     それにさ――

メアリー:それに?

ジェーン:ひとりのかけがえのない親友がいるしね。
     目の前にいるお節介屋(せっかいや)さんが、ね。

メアリー:もう! 嬉しいことを言ってくれるじゃん!!
     このこの~!

ジェーン:痛いって。

メアリー:あっ、ゴメンゴメン。

ジェーン:ガサツなところも相変わらずね。

メアリー:うるせいやい!

ジェーンN:そうして私たちは笑い合う。いつもと変わらぬ毎日。

メアリー:ねぇ、ジェーン。

ジェーン:なに?

メアリー:一緒にこの国を守っていこうね。

ジェーン:うん……そうだね。

ジェーンN:この国だけじゃない、彼女と過ごす何気ない毎日も。
      信じていた、これがずっと続くのを。
      けど――終わりは突然やってきた。

メアリー:あれ?

ジェーン:どうしたの?

メアリー:どうして、【魔導機甲(まどうアーマー)】がいるんだろうって……

ジェーン:本当だ……あの機体、見たことない……

男性教官:おまえたち!!

ジェーン:教官?

男性教官:何を突っ立ているんだ、早く逃げ――

ジェーンN:一瞬の事だった。
      (じゅう)の連射音が聴こえたのと同時に、教官の身体が(あな)だらけになる。
      士官候補生(しかんこうほせい)(あかし)であるネイビーブルーの軍服に、彼の返り血で黒い染みが出来た。

メアリー:あぁ……

ジェーン:敵襲(てきしゅう)のサイレン……!

メアリー:あっ……あっ……い、いやあああああああああああああ!!

ジェーン:逃げよう……逃げよう!!

ジェーンN:泣き叫ぶメアリーの手を引き、私たちは逃げ出した。
      市街地は爆撃音と人々の泣き叫ぶ声が響き渡り、
      所属不明の4体の【魔導機甲(まどうアーマー)】が轟音(ごうおん)と共に縦横無尽(じゅうおうむじん)に飛び回る。
      破壊と虐殺(ぎゃくさつ)が繰り返され、街を警備していた帝国兵が応戦するも、
      圧倒的な力に()(すべ)も無く次々と殺されていく――

メアリー:いやだよぉ……こんなの、こわいよぉ……

ジェーン:大丈夫! 大丈夫だから!!

ジェーンM:とにかく、どこか安全な場所に――!

メアリー:ジェーン!

ジェーン:えっ!

メアリー:危ない!!

ジェーンN:突然の大声に驚いた私は、メアリーを引いていた手の力が緩む。
      そして、すかさず彼女は私を突き飛ばした。

ジェーン:いった……一体、何のつもり――

メアリー:ごめんね……ジェーン。

ジェーン:えっ……

メアリー:バイバイ……

ジェーンN:彼女はそう言って、申し訳なさそうに苦笑いを浮かべた。
      その刹那(せつな)――大きな閃光(せんこう)が目の前を(よぎ)る。
      〝メアリーがいたはず〟の場所には、(ちり)ひとつ何も残されていなかった。

ジェーン:メアリー? えっ、どこに……?
     嘘……嘘だ……あっ、あっ……メアリイイイイイイイイイイイイイ!!

シーン3:そして、彼女は動き出す

―士官学校教育訓練棟。
―ジェーン合わせた士官候補生が4人と、女性教官の計5人の生き残りしかいなかった。

女性教官:生き残った候補生は君達、4人だけか……

スコット:教官! 一体、何が起きたんですか?!

女性教官:それは――

ジェーン:【魔導機甲(まどうアーマー)】の仕業(しわざ)、ですよね?

スコット:何を言っているんだよ、ドゥ!
     そんな馬鹿なことがあるものか!!
     冗談(じょうだん)を言うなら、もう少しマトモなことを言えよ!!

ジェーン:貴族様の()りない頭だと、目の前の状況を理解出来ないのかしら?

スコット:なんだと……?
     もう一度言ってみろよ、孤児(こじ)の癖に生意気(なまいき)な事を言っているんじゃねえ!!

女性教官:お前たち、落ち着け!
     今はケンカをしている場合じゃないだろ!!

ジェーン/スコット:申し訳ありません……

女性教官:ただ、ドゥ候補生の言う通りだ。
     今回の市街地襲撃については、所属不明の【魔導機甲(まどうアーマー)】によるものだ。

スコット:所属不明って……帝国以外にも【魔導機甲(まどうアーマー)】を所持しているところが……?!

女性教官:信じられないが、現実としてはそうだ。

ジェーン:っつ!

女性教官:どこに行くつもりだ、ドゥ候補生!

ジェーン:出撃します! 私があいつらを倒します!!

スコット:待て!

―スコットがジェーンの腕を摑む。

ジェーン:離してよ!

スコット:いくらお前が首席でも、それは実戦経験での評価じゃない!
     きっと敵は俺たちよりも、いや、俺たちなんかが立ち向かえる存在じゃない……犬死(いぬじ)にするだけだ……

ジェーン:アンタにしてはよくわかっているじゃない……

スコット:なんだと……ぐっ!

―ジェーンがスコットの胸倉(むなぐら)をつかむ。

スコット:なにをする……

ジェーン:スコット、アンタ、さっきも言っていたけどさ……事あるごとに「孤児(こじ)(くせ)生意気(なまいき)だ」って。

スコット:それが一体、今、言う必要があることなのかよ!

ジェーン:だったらわかるでしょ!!
     アンタみたいに元から〝持っている〟人間なんか理解出来るはずもない!
     何も〝持っていない〟人間の気持ちなんか!
     大切にしたかった唯一の存在でさえ奪われた者の気持ちなんか!!

スコット:ぐっ……

―言い返す事が出来なくなったスコットの胸倉を離し、ジェーンはその場から立ち去る。

女性教官:ドゥ候補生、待ちなさい! ドゥ候補生!!

シーン4:戦地へ

―士官学校の長い廊下を走るジェーン。

ジェーンM:訓練棟(くんれんとう)の【魔導機甲(まどうきこう)】は全て壊されている。
      確か……実験棟(じっけんとう)に一機があったはず!
      あった……試作機(しさくき)、【ドミニオンズ】!!

―急いでジェーンは【ドミニオンズ】のコックピット内に入り、操縦席に座る。

ジェーン:うん……動きそうだ……

―ジェーンは、大きな深呼吸を一回する。

ジェーン:セット・オン。

ジェーン:魔力同期を開始――シンクロ率、2、5、8、19、37――

ジェーンM:シンクロ率が悪い……集中するんだ、集中……!

ジェーン:――55、57、62

ジェーンM:まずい、このままじゃ……お願い! 私に力を……!!

ジェーン:――66、81、96、100%!

ジェーン:魔力増殖炉(まりょくブースター)を起動。

ジェーン:供給フェーズへ移行する、接続を開始!!

ジェーン:魔力供給完了!

ジェーン:士官候補生(しかんこうほせい)、ジェーン・ドゥ准尉(じゅんい)実戦特務(じっせんとくむ)型【魔導機甲(まどうアーマー)】――【ドミニオンズ】、発進!!

シーン5:戦争屋は笑みを浮かべる


―燃え盛る市街地。
―それを見下ろすように、上空には3機の【魔導機甲(まどうアーマー)】がいた。

アラン:総員、報告をしろ。

女性部下:こちら、アルファ。
     目標地域の殲滅(せんめつ)を完了しました。

男性部下:こちら、ベータ。
     目標達成を報告します。

アラン:いいねぇ、おまえら! 良くやった!!
    流石(さすが)、俺の自慢の部下たちだ!!
    さあ、ガンマ、報告を……どうした?
    応答しろ、おーい? おっかしいなぁー
    おい、ガンマ、早く報告しろー

女性部下:なっ!

アラン:どうした?

女性部下:【魔導機甲(まどうアーマー)】が一機近付いてきます!
     ガンマの機体ではありません!!

アラン:へぇ……

男性部下:馬鹿な!? 帝国の機甲(きこう)部隊は全員出払(ではら)っているはずだ!!
     まさか、もう戻ってきたのか?

アラン:いや、違うな。
    恐らくは〝ひよっこ部隊〟の生き残りだろうなぁ……ガンマを倒すなんてさ……予想外の事態だ。
    これだから、戦場は大好きだ……あぁ、楽しくなってきたァ!!

シーン6:邂逅

ジェーン:ハァ……ハァ……

ジェーンN:身体のふるえが止まらない。
      さっき私は戦った、〝命を懸けた〟本当の戦いを。

ジェーン:うっ!

ジェーンN:不快感に襲われ、吐き気を(もよお)す。
      結果として、私の勝利だった。
      でも今は、勝利の喜びよりもヒトを(あや)めたことへの動揺(どうよう)が大きかった。
      軍人となった以上、いつかは経験するかもしれないと覚悟していた。
      だけど、何処(どこ)か他人事に感じていた。
      自分の覚悟が中途半端(ちゅうとはんぱ)だったのを実感する。
      それでも――

ジェーン:やらなきゃ……あいつらを殺さなきゃ……私からメアリーを、全てを奪ったアイツらを!!

―やがて3機の【魔導アーマー】を発見する。

ジェーン:見つけた!!

アラン:さあ、お手並み拝見をいこうか。
    アルファ、ベータ――撃墜(げきつい)しろ。
    ガンマへの(とむら)い合戦だ、手加減はいらない。

男性部下/女性部下:了解!

ジェーンM:敵は3機……っつ!
      前の2機が動き始めた……!!

女性部下:ベータ、私が迎撃(げいげき)します!
     あなたは援護要請(えんごようせい)するまで様子見を!!

男性部下:わかった。

女性部下:炎のエレメント、充填(じゅうてん)――インフェルノ・ショット!!

ジェーン:火炎放射……魔導防壁(まどうぼうへき)、展開!
     ぐっ……強い魔力……!!

女性部下:燃えろォ!!

ジェーン:防壁にヒビが……まずい、このままじゃ……!

男性部下:アルファの奴、容赦(ようしゃ)なさすぎだろ。
     これなら、俺が手を出さずに済みそうだな。
     かわいそうに。

ジェーン:私はここで……

アラン:んっ……これは……

ジェーン:負けるわけには……

アラン:魔力反応の上昇……あの機体から……?

ジェーン:行かないんだああああああああ!!

アラン:まさか……!!

ジェーン:えっ、シンクロ率の更新……?
     103、115、146――これって!

アラン:おいおい、勘弁(かんべん)してくれよ!
    ベータ! 今すぐ攻撃を!!

男性部下:しかし、アルファの攻撃だけでも十分か――

アラン:バカ野郎!
    お前らには感じねェのか、この魔力の増幅(ぞうふく)を!!

ジェーン:――178、189、200%!

アラン:奴は――〝臨界点(りんかいてん)〟を突破(とっぱ)する!!

ジェーン:邪魔を……するなああああああああああ!!

女性部下:えっ、炎を打ち消して――きゃああああああああ!!

男性部下:ベータ!

アラン:ちっ!

男性部下:貴様ああああああ!
     氷のエレメント充填(じゅうてん)、ブリザード――
     なっ、背後を……いつの間に……!
     や、やめてくれ、命だけは――

ジェーン:そこをどけえええええ!!

男性部下:ギャアアアアアアアア!!

ジェーン:ハァ……ハァ……

アラン:(※拍手をしながら)大したものだな、ひよこちゃん。
    俺の部下を3人倒すだけではなく、【魔導機甲(まどうアーマー)】の限界突破(げんかいとっぱ)――〝臨界点(りんかいてん)〟に至るとは。
    ここで殺すには惜しい人材だ。
    どうだい? 帝国を辞めて、俺たちの元に来ない――

ジェーン:アンタだけは……

アラン:んっ?

ジェーン:アンタだけは絶対に許さない!!

アラン:あらら、交渉決裂(こうしょうけつれつ)か。
    しょうがない……なら、そのラブコールを受け取ってやるよ!
    ひよこちゃん、いや――士官候補生(しかんこうほうせい)、名前と機体名(きたいめい)を言え!!
    ――学校で教えてもらっただろ?
    戦う前のお作法(さほう)というやつだ!

ジェーン:――エミネンス=グローリア帝国軍士官学校、士官候補生・ジェーン・ドゥ准尉(じゅんい)
     機体名(きたいめい)は、【ドミニオンズ】!!

アラン:【亡国機関(ぼうこくきかん)】……いや、元エミネンス=グローリア帝国軍機甲(きこう)部隊・第九独立分遣隊(ぶんけんたい)隊長、アラン・スミシー!
    機体名は、【スローンズ】!!
    さあ、始めよう、闘争を!
    さあ、見せてくれ、お前の本能を!!

ジェーン:ぐっ!

アラン:いいねェ、素早い反応だ!
    ブレードで切り刻むつもりだったんだけどさァ!!

ジェーン:な、める、なあああああああ!!

アラン:おっと! 伝わるよ、君の怒りがさァ!
    俺に対する憎しみがさァ!!

ジェーン:黙れ! 必ず、私がお前を……ハァ!!

アラン:おいおい、魔導ブレードの扱いがなってないぜ!
    しっかりしてくれよ、ひよこさんヨォ!
    そんなもんじゃないだろ、士官学校仕込みの機甲剣術(きこうけんじゅつ)はサァ!!

ジェーン:しまった! バランスを崩されて――

アラン:高魔力装填(こうまりょくそうてん)! 四連発射、テトラ・バースト!!

ジェーン:魔導防壁(まどうぼうへき)、フル展開!!

ジェーンM:大型の高魔力弾(こうまりょくだん)が4発も……あぁ、きっと防げない……
      私、ここで死んじゃうのかな?

シーン7:親友


―士官学校の教室。
―ジェーンは黄昏た表情で教室の窓から外を見ていた。

メアリー:ねぇ!

ジェーン:んっ?

メアリー:何回も呼んだんですけどー!

ジェーン:ボーっとしていた……なに?

メアリー:あなたって、ジェーン・ドゥ候補生でしょ?

ジェーン:そうだけど……誰?

メアリー:えー! 同期を覚えていないってひどくない?

ジェーン:ごめん……他人の名前を覚えるのは得意じゃないんだ。

メアリー:もう! 筆記試験は全科目満点とる記憶力を持っている(くせ)に!!
     私の名前はメアリー・スゥ、あなたと同じクラスメイトのメアリー・スゥ!
     リピート・アフター・ミー!!

ジェーン:メ、メアリー・スゥ……思い出した、斜め向かいに座っている……

メアリー:もう、忘れないでよね!

ジェーン:それで、メアリー……用って何?

メアリー:あなたとお友達になりたいの!

ジェーン:はっ?

メアリー:聞こえなかった?
     それじゃあ、もう一回言うわね。
     あなたとお友達になりたいの!ㅤ

シーン8:再会の約束は、仇討ちの約束


ジェーン:はっ! ゆ、夢……だったんだ……
     空が、見える……生きているんだ、私……いっつ!

アラン:よお、ひよこちゃん。

ジェーン:貴様は……!

アラン:動かない方がいいぜ?
    全力ではないが、俺の高魔力弾(こうまりょくだん)をくらったんだ。
    しばらくは動くこともままならないさ。
    お前も、機体も、な。

ジェーン:それでも、私は……ぐあっ!!

アラン:だーかーらー、やめとけって言っただろ?
    奇跡的に原型(げんけい)(とど)めているが、全身の骨にヒビが入っているだろうさ。
    動くだけで激痛が走るぞ。
    自分を大切にしろ、今のお前さんでは俺を殺すことは出来ない。

ジェーン:ど、どこに……行く……!

アラン:帰るんだよ、目標はすでに達成した。
    お前はとりあえず生かしとく、可能性の(かたまり)だ。
    早々に殺しちまったら……俺の人生が退屈になるからな。
    だから待ってるよ、強くなって俺を殺しに来てくれ。
    ……あっ、そうだ! ひよこちゃん、君の名をもう一度教えてくれないか?

ジェーン:……ジェーン・ドゥだ、覚えておけ!
     貴様を殺す人間の名を!!

アラン:ジェーン・ドゥか……良い名前だ。
    俺も改めて自己紹介をしよう、アラン・スミシーだ。
    かつてはお前と同じ、帝国と【機神(きしん)】を愛する軍人だったが、
    今は映画を愛し神々を憎む、しがない戦争屋だ。
    ……俺たちは似た者同士なのかもしれないな。
    〝名無し〟同士、殺し合う日を楽しみにしているよ。
    Goodbye, My Dear Revenger !(グッバイ、マイ・ディア・リベンジャー!)
    ――俺の好きな映画のタイトルだ。
    見てみるといい、三文小説(さんもんしょうせつ)並みの出来だが、ラストシーンは格別だ。
    それじゃあ、本当にサヨナラだ。

ジェーンN:そう言って、男は立ち去る。
      ()()しになった機体の操縦席から私は天を(あお)いだ。
      茜色(あかねいろ)の空が(くも)り空へと一変(いっぺん)し、降り(しき)雨粒(あまつぶ)が私の身体を撃ちつける。

ジェーン:くっそ……くっそ……!!

ジェーンN:(くや)しさで涙が止まらなかった。
      自分の無力さを実感した、軍人として舌を()み切って死にたいぐらいの(はずかし)めを受けた。
      それでも――

ジェーン:まだだ……死ぬのならば、あの男を――

シーン9:宿命

ジェーンN:数年の時が過ぎた――

女性帝国兵:こちら、機体【プリンシパリティーズ】。
      準備が出来ました、少佐(しょうさ)

スコット:こちら、機体【アルケー】。
     目標地点を捕捉(ほそく)……問題ない。

ジェーン:そうか、了解した……総員に()ぐ!
     本作戦は、ロゼッタ大公国領、城塞都市(じょうさいとし)・アルテミシアの破壊。
     総司令部からは――「民間人の犠牲(ぎせい)(いと)わない、徹底的に破壊せよ」との通達(つうたつ)だ。
     これより、10:30(ヒトマルサンマル)、作戦を開始する!!

ジェーンN:私の号令で複数機の【魔導機甲(まどうアーマー)】が動き出し、街を火の海にする。
      現在、エミネンス=グローリア帝国は大陸全土に宣戦布告(せんせんふこく)をし侵攻作戦(しんこうさくせん)を行っている。
      多くの国々は帝国派の台頭(たいとう)によって講和は時間の問題だったが、
      西の大国、【魔導(まどう)国家】ロゼッタ大公国のみ徹底抗戦(てっていこうせん)を示した。
      戦いは苛烈(かれつ)(きわ)め、帝国首脳部(ていこくしゅのうぶ)は主要都市制圧を優先することで、公国に早期講和を(うなが)すのを狙った。
      私の任務は、その一環(いっかん)だ。

女性帝国兵:こちら、【プリンシパリティーズ】。損壊(そんかい)状況(じょうきょう)を報告します。
      我が隊の被害は軽微(けいび)なモノでしたが、一方の公国側はアルテミシア城塞(じょうさい)警備隊の殲滅(せんめつ)
      公国軍は撤退(てったい)と被害は大きいものとなっています。

ジェーン:偽情報を流したことが(こう)(そう)したか。

女性帝国兵:また、民間人につきましても多数の死者及び負傷あり。

ジェーン:……そうか

スコット:こちら、【アルケー】。
     城塞(じょうさい)に仕掛けられていた魔導兵器の完全破壊を完了した。

ジェーン:ご苦労だった。

ジェーンM:皮肉なモノだ……かつて自分が受けたことを、「戦争」という大義名分(たいぎめいぶん)で同じことをしている。
      あの男、アラン・スミシーと変わらないじゃないか……私は、何人の人間を殺してきた?
      いつから、単純作業の様に機体の引き金を引けるようになった?
      ――本当に何をやっているんだ、私は……

メアリー:ジェーン。

ジェーン:ぐっ、まただ……頭の中から声が……!

メアリー:ジェーンったら。

ジェーン:どうして……どうしてなの、メアリー!
     いないはずのあなたの声が聞こえるの……あなたが死んでからずっと……!!

メアリー:大丈夫?

ジェーン:大丈夫じゃない……大丈夫じゃないよ……

メアリー:無理してない?

ジェーン:もうわからないよ、私は……

スコット:起きろ、ジェーン・ドゥ少佐(しょうさ)!!

ジェーン:わ、私は……いったい、何を――

女性帝国兵:敵襲(てきしゅう)です!
      【魔導機甲(まどうアーマー)】が一機、こちらに向かってきます!!

スコット:ちっ、他の機体とも連絡がとれない!
     他の奴らは、全員やられたって言うのかよ!!

ジェーン:機体名は!

女性帝国兵:機体は……なっ! 【スローンズ】です!!
      操縦者は【亡国機関(ぼうこくきかん)】所属、アラン・スミシーです!!

スコット:機関は我々の味方のはずだ……どうして!!

ジェーン:……スコット、彼女を連れて本部にすぐ報告を。

スコット:何を言っている――

ジェーン:いいから急げ! 上官命令だ!!

スコット:こんの、野郎……孤児(こじ)(くせ)に、貴族の俺より先に昇進(しょうしん)しやがって……!
     行くぞ!!

女性帝国兵:は、はい!

スコット:ジェーン・ドゥ!

ジェーン:なに?

スコット:……死ぬんじゃねえぞ。一応、お前は俺たちの隊長だからな。

ジェーン:……行ったか、相変わらずバカなヤツだ。
     「死ぬんじゃねえぞ」、か……それは無理な注文だよ、貴族様。

アラン:よう、お久しぶりだな。気分はどうだ?

ジェーン:えぇ、最悪で最高な気分だ。

アラン:あら、それはどうして?

ジェーン:お前を遠慮(えんりょ)なく殺すことが出来るからだ。

アラン:アハハ、随分(ずいぶん)立派(りっぱ)になったなぁ……聞いたよ、少佐(しょうさ)にまで昇進(しょうしん)したんだって?
    おめでとう、心から喜びを覚えるよ。

ジェーン:高魔力装填(こうまりょくそうてん)! 八連射、オクタ・キャノン!!

アラン:おいおい、マジかよ!
    いきなり全開とか、殺意が(おとろ)えてねぇなァ!!
    だけど……期待通りの女だよ! ジェーン・ドゥ!!

ジェーン:機体が変形して――なっ! 全てをかわした……!?

アラン:ふぅ、危うくオシッコをもらしそうになった。
    それにしてもやるなァ!
    機甲(きこう)部隊でも指折りの人数でしか出来ない、五連以上の高魔力弾(こうまりょくだん)を撃てるとは……生かしておいて正解だ。
    強敵であればあるほど、死が身近に感じ、生きることをより実感させてくれる!

ジェーン:ちっ!

アラン:楽しませてくれた礼だ……次はこっちの番! オラァ!!

ジェーン:させるか!

アラン:おーっと、また受け止められるとは。
    俺、魔導ブレードの扱いには自信があるんだけどなァ……

ジェーン:貴様を殺すために、多くの戦い方を学んだ!
     そして、お前の事も調べた!!

アラン:俺の事をねェ……「敵を倒すには、まずは敵を知る」――常套(じょうとう)ではあるが、大切な事だ。

ジェーン:答えろ!
     何故、私たちの街を――いや、自分の故郷を破壊するようなマネをした!!

アラン:……俺は戦争屋だ、戦いを何よりも好んでいる。
    報酬さえ貰えば、何だってやるさ! 悪魔にでもな!!
    それに、わかっているんだろ?
    俺が、この国を……いや、世界を、神々を憎んでいるのをサァ!!

ジェーン:そんな身勝手な理由で、こんなことを……?

アラン:あぁ、そうだ!
    理由に貴賤(きせん)がどうとか必要はねぇよォ!!

ジェーン:ふざけるな!
     お前は憎しみの連鎖(れんさ)を生み出す悪魔(あくま)だ!!

アラン:おいおい、おもしれぇ事を言うじぇねかァ!
    同じ(あな)(ムジナ)の癖によォ!!

ジェーン:黙れ! 貴様と一緒にするな!!

アラン:相変わらずの愚かさは昔と変わらねえなァ!
    格の違いを見せてやるよ!!

ジェーン:やってみろ!!

ジェーン/アラン:魔力装填(まりょくそうてん)一極集中(いっきょくしゅうちゅう)

ジェーンN:互いが持つ魔力を、全身全霊(ぜんしんぜんれい)、一発の魔力弾(まりょくだん)()める。

アランN:そして、勝敗は一瞬にして(けっ)する。

ジェーンN:この戦いは復讐(ふくしゅう)(ちか)い、そして――

アランN:――闘う宿命(しゅくめい)を定められた者の戦いである!

ジェーン/アラン:極限弾(きょくげんだん)、アルティメット・バスター!!

シーン10:復讐の果てに

―緊急脱出ポッドから満身創痍(まんしんそうい)のアラン・スミシーが出てくる。

アラン:かはっ……クソが……緊急脱出ポッドを使う、羽目(はめ)になるとはな……
    久しぶりだなぁ、自分の血を見るのは……(がら)にもない。
    ノスタルジーな気持ちになるのは……あれか?
    久しぶりの再会でそんな気分になっちゃったのかねぇ……ハハッ……

アランM:あいつは、生きているのか?
     俺と違って魔力弾(まりょくだん)がコクピット部分に直撃(ちょくげき)した以上は無事であるはずがない。

アラン:これで生きていたら……天晴(あっぱ)れ、だよ……

ジェーン:ハァ……ハァ……

アラン:マジかよ……ハハッ、立っているのも、やっとじゃないか……
    そのバタフライナイフで、俺を殺すのか……?
    来いよ……受け止めてやる……

ジェーン:うわあああああああああ!!

アラン:ぐうっ……あぁ、やっぱりナイフに刺されるのは痛いなぁ……
    でもさ、なってないなぁ、実になっていない……
    心臓はソコじゃないだろ……肺を刺しても完璧に殺せる訳ないのにさ……

ジェーン:「砂漠(さばく)の上につけられた、私たちの足跡(あしあと)はすぐに無くなるでしょう」

アラン:その言葉は……

ジェーン:「けれども、私が存在する限りは、私の記憶の中であり続けます」

アラン:ハハッ、嘘だろ……

ジェーン:「そして、あなたは、(うつつ)でも夢でも、私と共に歩き続けるのです」

アラン:映画、見てくれたんだ……うれしいなぁ……

ジェーン:「さあ、これが私からの最期の贈り物です」

アランN:何か金属音がした。これは確か――

アラン:手榴弾(しゅりゅうだん)の安全ピンって……おいおい、映画と同じように爆弾を身体に巻き付けちゃってさ……
    あぁ、これは間に合わないなぁ……

ジェーン:「Goodbye, My Dear Revenger(グッバイ、マイ・ディア・リベンジャー)」

アラン:あぁ、さよならだ……良き来世を……


(END)

グッバイ、マイ・ディア・リベンジャー(Goodbye, My Dear Revenger)

グッバイ、マイ・ディア・リベンジャー(Goodbye, My Dear Revenger)

  • 自由詩
  • 短編
  • ファンタジー
  • アクション
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-05-09

CC BY-ND
原著作者の表示・改変禁止の条件で、作品の利用を許可します。

CC BY-ND