石灰石の民
石灰石の民と呼ばれる、天使がこの村にはいるのです。
その民はみんな、涙がそのような石塊になることから、そう蔑まれ、みんなが使わなくなった廃墟に寄り添うように暮らしていました。
いわく、涙すら、このような石灰石のようになるものですから、あのひとらは心がないのだと言われるのです。
そこに暮らす少女であるネッペルはいつも、虹のように透明な青空にかかる、涙を祈ってました。
やい、ネッペルは白い目。
涙は石灰石。
おいらは雫だい。おまえには心がないんだい。
そうやって行く日も言われる、生活。だれもが、力のある、村人には叶わないので、言いなりになってただ、ひたすらにものを言わず、
みんなが使わなくなったものを分けてもらい、
貧しい土地を耕してその日暮らしをしています。
ある、なだらかな午後にネッペルは夢を見ます。
天女のように、美しい白い眼をした、女性でした。そうして、云うのです、この民には、私という神さまがいる。めいめいの、神さまが、みんなの夜には電灯のようにいつも灯っているのよ。
おまえの、眼は白いのは雲のように。
石灰石の涙は、おまえの美しさ。
どうして、こんな運命を与えたのか、ネッペルは泣きました。
涙を零しながら、神さまは優しく抱きしめ、額にキスをしました。
その地面には石灰石が、たくさん、転がっていたのです。
ネッペルはすべてを愛おしく思いました。
ああ、一夜の夢でしょう。どうか、目が覚めたら、わたくしのまことの幸せのために働けますように!
そうして眠りながら涙が、伝うネッペルの枕元には石灰石がたくさんありました。
石灰石の民