死後の愛
思い出したくないことばかりが浮かんで
本当に思い出したいことが霞んでしまう
霞を掻き分けて、掻き分けて僕は手を伸ばす
嘲りの霖雨に打たれても、
躊躇いの泥濘に嵌っても、
霞を掻き分けて、掻き分けて僕は手を伸ばす
僕は歪んだ正義に侵されているから、
僕は歪んだ真実に縛られているから、
僕は歪んだ世界に騙されているから。
道化も、改竄も、捏造も、剽窃も、
ただの気休めでしかなかったんだ
意味のない延命ほど惨めなことはなくて
意味のない笑顔ほど大切なものもなかった
喪失の繰り返しが人生だというなら
代役を探している連中は追憶の奴隷だ
きみの代役は誰にも務まらない、僕は
ひとりで喪失と闘うんだ。そして記憶と共に死ぬことが
きみに対する、不器用なりの愛の証明だ
死後の愛