白神の雲霞
新緑と雨
土の匂い
霧雨
山々はどうして天を目指す形をしているの?という素朴な問
私が産まれたところは
山に囲まれた城下町のはずれだったという
あなたの、あなたたちの産まれた
小屋の中の産声、渦巻の如く
白く霞む
鼓動が呼ぶ
還れと
平野はこだませず、ただ静かに次の爆発を待つ
それと同じようにみんなに怒鳴ったのは
愛していたからよ。という卑しい言い訳
もうやめよう
争いをやめよう
だって私はもう
あなた達のことを好きでも嫌いでもないから
でもそれはまた可変で
それでも争いはしないけれど
あ、また鳴いている
山が雲で霞んでいる
そういうの、懐かしくなる
私がみんなを許せば
みんなが私を恨んでいても関係ない
私が自分を許せばいいんだね
雪解け水が激流を産む
霞のように
優しくあなたのどこかにいれるのなら
それでいいよ
私はやはり誰も憎めなかったね
他人の様に
いや他人が
これからすれ違うかもしれなくても
もう記憶のあなたたちではない
新しい私たち
また梅雨をはじめよう
白神の雲霞