サイレンス

あおい はる

 ノアザミの花に、埋もれて。棘の痛みは、生きていることを、おしえてくれる。生命の補完。朝焼けに染まって、きみが、だれかのくちびるにふれる頃、産声をあげる星。球体の檻。心臓を撫でる、まあたらしいシーツ。やわらかな繭に包まれた、肺。世界が孕んだのは、純然たる悪意。怪物たちが涙を流して、澄んでゆく街の空気。目を閉じて、ぼくが、ここで眠っていることを、みんな、知らない。しじまに、忘れかけていた昔の恋が、エンドロールとなって、まぶたの裏に映る。うらむ、という行為の、あとからこみあげてくる、むなしさに、ささやかな嘔吐感。きみが神さま。

サイレンス

サイレンス

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-05-03

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