砂嵐
砂の味しかしない日々でも
相変わらず詩は書いていて
ひとり拙い詩を書いていて
気が狂ったみたいに叫んでいる
現実に焦点が合わなくて
行きたい場所が過去にしかない
現実に居場所なんてあるはずなくて
会いたい人が過去にしかいない
輪郭をなぞり損ねた分だけ
きみの歩調は速まっていく
きみの背中は明滅していて
追いかけた分だけ遠ざかっていく
地平線を死に喩えたところで
僕は永遠に辿り着けない
きみを忘れて生きたところで
僕は永遠に幸せになれない
往生際の悪い僕は今日も
ひとり拙い詩を書いている
砂嵐