滲む


ちいさいころは
スイッチをオフにするみたいに
区切りのあるものだった

今日と明日には
まるで繋がりがなかった
今日は今日で
明日は明日だった
夢は夢で
現実は現実だった


おとなになったいまは
時間に区切りがないことを知った
暗くなったら明るさを待ち
明るくなったら暗さを待つのだ

ある程度を知って
夢というものが小さくなった
人生こそが一続きの夢であり
あらゆるものへの境界線が滲む

あしのみじかい白い猫が
のんびりしっとりと歩いていたのは
さて

滲む

滲む

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-04-30

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