無限キャベツ

北上八三

誰も悪くないです。強いて上げるなら私が悪いのだと思います。

先日、ふとジェーソンに行った際の話です。ジェーソンというのは関東圏に存在するまあ、なんというか、何と言ったらいいのか・・・この説明がこの話で一番難しい可能性もあります・・・まあ、私のイメージです。これはあくまでも私のイメージ。世間様と同じかどうかは不明ですし、人によっては、
「何言ってんだこいつ馬鹿野郎!」
となる可能性もあります。しかしまああくまでも私のイメージです。

食料品販売界のハードオフ。日用品販売界のトレジャーファクトリー。ああ、今の人ならあれかな?メルカリ。メルカリって言えばわかってもらえるかな。いやあ、メルカリじゃないな。食料品販売界のハードオフ。日用品販売界のトレファク。一切の望みを持たずに訪れればそこに望むものが置いてある。望みをもって訪れれば一切の望みから見放される。私にとって、これが彼の地のイメージの全てです。ジェーソン。

そんな素敵なジェーソンに買い物に行った際、彼の地におやつラーメンというものが置いてありました。
「おお?これは?おお?」
チキンラーメンの小さいやつが何個も入っててカップにあけてお湯を注げば、簡易的なラーメンの様なものが食べられる奴です。よくある。それの14個入りチキンペッパー味というのが売っていたのです。インスタント袋麵を四分の一程度の大きさにしたのが14個入って300円くらい。

「黒いな」
ちなみに以前もジェーソンでそのようなものを買った記憶がありました。以前はチキン味だったか、チキンブイヨン味だったか、とにかくペッパー系は入ってないように記憶しており赤を基調とした外観だったはずですが、その日ジェーソンで発見したそれは黒を基調としたカラーのものでした。チキンペッパーのペッパーの部分を強調しているのではないかと素人ながら思いました。

「買おう」
で、私はそれをカゴに入れました。こういうものがいざという時必要になる。という事を私は自分の経験上から学んでいました。こういうサブ武器っていうか、バイオRE2のナイフとか、閃光手りゅう弾とか、そういうの。お酒を飲んでその日準備したものを食べきって、もう寝るかどうかの今際の際、不意に頭をよぎる、
「甘いものが食べたい」
という感情。あるいは、
「今日はもう少し飲めそう」
という感情。

で、その際に、何もないとファミマに行ってしまう危険性。頭の片隅では、
「いやもう味もなんもわからないし、やめろ!お金を使うのをやめろ!」
ってなってるのに、酒飲んで自制が効かなくなってて、
「いや味わかるし!味の違いわかるし!酔ってるけどわかるし!」
ってなって、自分に対して意固地になって、強行して酔った状態でファミマとか行って甘いものとかアイスとか、最悪お弁当とか買って、温めることもせずに(温めてる時間がもう待てない)冷えたまま味もしゃしゃりも無い状態で食べて何かが、感情面とか満たされて寝る。寝て起きたら当然味なんて覚えてない。アメブロ等にその失敗を書いて何とか留飲を下げる。そうしないともう自分で自分を殺したいという感情とか、自分で自分を責めることを凄いするから私。
「それを防いでくれる」
そういう負の連鎖を防ぐためのサブ武器。あると助かるのです。本当に助かります。

という訳でその日、そのチキンペッパー味を購入したのでした。

で、家に帰ってから試しに一個食べてみたのですが、思った味ではなかったというのが正直な感想です。以前の赤が基調とされた奴はもう少し、チキンラーメンチキンラーメンしていたのに、なんかこれ、何だろう?ってなったのです。ペッパーか?お前か?とか。そう言う感じ。

無論サブ武器に求める要素はそこではないので、今際の際にあるかどうかなので、あるだけで助かるのですがまあでも。うん。でも、何だろう?みたいな。

それから数日経過した、またある日の事です。

私はその日、家に帰ってから飲むお酒の事を考えていました。
「今日はどうしよう」
と、そういう事です。

そうしましたらその時不意に、脳内にキャベツに関しての出来事が浮上しました。

「そういえば」
みたいな感じで。

そういえば、こないだキャベツを一玉買った時キャベツスライサーを使わなかったよな。って。キャベツスライサーっていう、なんかふわっふわのキャベツの千切りが出来ますって言う、ピーラーみたいな形のものを私は以前購入していたのです。で、それを購入した理由は、
「これとキャベツがあれば、いつでもふわっふわの千切りキャベツが食べれるのか!」
ってなったからです。なんでそうなったのかはわかりません。そんなキャベツの千切りを食べるタイプでもないのに。でも、なんかその時は無性にそれが欲しくなって。だから予備も含めて二本買っていたのです。所謂通販番組効果というものが発揮されたのでしょう。そうじゃなかったら怖い。

「酢キャベツを作った時、なんであのスライサー使わなかったんだ私は?」
んで、そういう疑問が発生してその事で頭が満たされて行きました。そんで結局最後の方は、キャベツ一玉を消費するのは意外と大変だとか思い知らされてしまって、腐らせて捨ててしまう食品ロスを発生させてしまうのを防ぐ一心で残った半玉を包丁で適当にカットして一部は生のまま塩かけて食べて、一部はコンソメスープの素と一緒に煮てスープにして消費したのですが、キャベツの芯の部分が煮え切らず、
「ああもう!」
ってなったのでした。

「スライサーで千切りにしてたらきっとタッパーにも入ったろうなあ・・・」
一つ一つの物体を小さくすることで隙間を無くせるでしょ?包丁で適当に切り刻んだもんだから大きさもなんもかんもバラバラで、鍋に入らない分はもうその時消費するしかなく、そら体にはよかったかもしれないけども。こんなに食べないといけませんか?っていう位山盛りキャベツになったから。ちょっとビジュアルにひいてしまって。もう一切他の事が考えられない感じになっちゃって。ビジュアルでお腹いっぱいみたいな。そんな感じになってしまって。で、その時の反省会みたいなのが私の脳内で発生して、それはもうまた自分を責めたり、こいつはどうしてそういう気が回らないんだとか、そういう感じになった時でした。

不意に、脳内にあのチキンペッパー味の事が出たのです。不意に。思った味と違う。私はもっとチキンラーメンチキンラーメンしているのを求めていたのに、正直違う。私の思ったのと違う。そんなチキンペッパー味。

その瞬間でした。

「無限キャベツだ!」
ってなりました。大声が出ました。自分でも思った以上に大声でした。私はその場で突然大声を出したのです。

んで、脳内で何かがブチンとなりました。

目を覚ましたら家とは違う所に寝ていました。
「・・・知らない天井だ・・・」
エヴァみたいな事を言ったら、看護師のコスプレをした人が、
「気が付きましたか?」
と言って近づいてきました。本物でした。本物の看護師の人でした。

病院でした。脳卒中になって意識を失って倒れたらしく、病院に搬送されたんだそうです。看護師の人からそのような説明を受けました。驚くことに自分の腕に点滴とか刺さってました。

「何か思い当たる事はありますか?」
と看護師の人が言いました。

「・・・いえ、わかりません」
嘘です。

食べきったキャベツに関しての不手際の事を考えていたら、不意におやつラーメンチキンペッパー味の事が頭に浮かんできて、それらを合わせたら無限キャベツになるんじゃないかと思った。だから思わず、
「無限キャベツだ!」
って叫んだんです。そしたら脳内の血管が切れたんです。

恥ずかし。

すごい恥ずかしい。

みんなも突然の大声には気をつけよう。

無限キャベツ

無限キャベツ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-04-27

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