時計

渡逢 遥

いつからか私は

狂った時計の中に閉じ込められていて​

およそ非現実的な過去​……あるいは未来を

強迫的に、盲目的に生産することでしか

息をすることができなくなってしまった

(私は稀に光をみた

私はそこが唯一の出口だと信じて接近した

然し、いざ辿り着くとそこは

少し明るいだけの暗闇に過ぎなかった​

現実における夢を穢していたのは

皮肉にも……夢みていた自分だった)

狂った針音を聞きながら私は

狂った視線を彷徨わせながら私は

あらゆる固定概念を崩壊させる

あらゆる可能性に自己を放擲しては

夢と現実の区別がつかなくなっていく

軌跡も境界もことごとく消滅して

苦痛という快楽を貪っているだけの私がいる

時計

時計

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-04-26

Copyrighted
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