時計
いつからか私は
狂った時計の中に閉じ込められていて
およそ非現実的な過去……あるいは未来を
強迫的に、盲目的に生産することでしか
息をすることができなくなってしまった
(私は稀に光をみた
私はそこが唯一の出口だと信じて接近した
然し、いざ辿り着くとそこは
少し明るいだけの暗闇に過ぎなかった
現実における夢を穢していたのは
皮肉にも……夢みていた自分だった)
狂った針音を聞きながら私は
狂った視線を彷徨わせながら私は
あらゆる固定概念を崩壊させる
あらゆる可能性に自己を放擲しては
夢と現実の区別がつかなくなっていく
軌跡も境界もことごとく消滅して
苦痛という快楽を貪っているだけの私がいる
時計