失せ物

湯に浸かり思いついた言葉の端々を
服を着たら書きとめようと決するのに
なかなか如何して
まっさらな紙の前に
まっさらな自分が対峙する

丸裸のときだけ天才になる
新種の呪いなのかも知れない
それかきっと流れてしまったのだ
一日分の雑念といっしょに

もしそのいずれでもなく
あたたかな泉でぽつんと生まれた
ひそやかでうつくしい幾多の言葉たちが
わたしのからだに深く沈澱しているだけならば
失せ物はいつか見つかるから安心してよい

失せ物

失せ物

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-04-22

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