GRAY FILM

ばらばらの風景を

きれぎれの記憶を

つなぎ合せようとする

修復しようとする、切迫した思いで。

灰色の海の底、奥底で

おれは死人のように睡っていた。

目がさめる前から ひとりだということが

どういうわけだか、わかっていたのだ。

こんな虚しいところでは

おれは自分さえ救えやしない、

おれは自分さえ護れやしない、

自分の心音さえ聞えやしない。

おれは「外」を目指した、

月を目指した、太陽を目指した。

おれは存在を確かめたかった

たとえそれが

灰色になっていたとしても。

GRAY FILM

GRAY FILM

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-04-18

Copyrighted
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