GRAY FILM
ばらばらの風景を
きれぎれの記憶を
つなぎ合せようとする
修復しようとする、切迫した思いで。
灰色の海の底、奥底で
おれは死人のように睡っていた。
目がさめる前から ひとりだということが
どういうわけだか、わかっていたのだ。
こんな虚しいところでは
おれは自分さえ救えやしない、
おれは自分さえ護れやしない、
自分の心音さえ聞えやしない。
おれは「外」を目指した、
月を目指した、太陽を目指した。
おれは存在を確かめたかった
たとえそれが
灰色になっていたとしても。
GRAY FILM