ハイリ ハイリホ(2)

二―一 僕

 パパは、いつもそうなんだ。起きているのか、寝ているのか、それとも、中間地帯の夢ごこちなのか、僕には、よく分からない。分かることと言ったら、多分、パパは、パパの脳の世界があって、その世界の中で、暮らしていることだ。それが、証拠に、僕が話しかけた時、返事はしてくれるが、目はいつも自分の頭の中の内側を覗いている。パパはいつも自分しか見ていない。少しは、僕をちゃんと見て欲しい。僕だって、自分のことしか考えていない時もあるけど、それは、ちゃんと行動にでている。
 お菓子が食べたくなったら、台所の棚を覗くか、喉が渇けば、冷蔵庫から健康飲料水を取り出す。その後は、決まってテレビゲームをやったり、漫画の月刊誌コロンコロンを転がって読む。本当にわかりやすい。やりたいことをそのままやっているだけだ。僕の行動を見れば、僕の考えていることがわかる仕組みだ。パパが少しでも僕のことに関心を持ってもらうよう、ちょっと驚かせてやろう。
「パパ、パパがどんどんと大きくなっているよ」

ハイリ ハイリホ(2)

ハイリ ハイリホ(2)

パパと僕の言葉を交わさない会話の物語。二―一 僕

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-26

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