ネコヤ

ネコヤに入ってぼくは大声で言った。
『おじさ〜ん!猫をちょーだい!』
「バーカ言ってんじゃねーよ!そんなもんが欲しけりゃなんでうちになんて来たんだ。そんなもんいねーよ!」
ネコを売っているお店にちがいないのに変なことを言うおじさんだ、するとぼくの心を聞いたように、
「うちはネコを売ってるんじゃねーよ!どうにもこーにも猫が出てきちゃうのさ。今日の1ぴき、明日の2ひきってわけにゃいかね〜んだ。」
そう言うとおじさんは手でシッシッとぼくを追い返した。
ぼくは肩を落としてがっかりしたけど、なぜか、あのおじさんのことが好きだなぁと思った。

ネコヤ

ネコヤ

町に1人はいそうでいなそうな、いなそうでいそうなそんなおじさんの奇妙なお店。今、何時? お店の中にご自分が入り込んだような感覚を楽しんでください。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-04-13

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