春の空

あおい はる

 胃のなかの、消化されかけているものが、時折、焼けつくように熱をもって、腹部にあたえる軽やかなダメージに、ためいき。夕暮れ。つかれはてたひとびとが、群れをなし、街を行進しているあいだに、夜が落ちてきて、太陽は、おしつぶされて、たまごの黄身みたいに、膨張する。どこからともなく、音楽。幸福、とはなんだか遠く、かといって、不幸、だとは思っていない、日々の、変わらない、おなじことのくりかえしでも、世界は変化し、星は退化し、にんげんは進化し、わたしは老いている。一歩ずつ。確実に。しっかりと。コンビニで、きまぐれに買ったチーズケーキを、ほんとうはシュークリームが食べたかったのだけれど、売り切れていたからチーズケーキを選んだ、わたしを、見ているかもしれない神様へ。愛がほしいと、希ったことはない。生きたいと、祈った夜はある。平和を思いながら、たまに、ひどく暴力的な感情も芽生える。きみがいる、そこは、楽園だって。うそ、いつわりのないやさしさだけに、満ちている。透明。こわいくらいに。

春の空

春の空

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-04-09

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