春の空
胃のなかの、消化されかけているものが、時折、焼けつくように熱をもって、腹部にあたえる軽やかなダメージに、ためいき。夕暮れ。つかれはてたひとびとが、群れをなし、街を行進しているあいだに、夜が落ちてきて、太陽は、おしつぶされて、たまごの黄身みたいに、膨張する。どこからともなく、音楽。幸福、とはなんだか遠く、かといって、不幸、だとは思っていない、日々の、変わらない、おなじことのくりかえしでも、世界は変化し、星は退化し、にんげんは進化し、わたしは老いている。一歩ずつ。確実に。しっかりと。コンビニで、きまぐれに買ったチーズケーキを、ほんとうはシュークリームが食べたかったのだけれど、売り切れていたからチーズケーキを選んだ、わたしを、見ているかもしれない神様へ。愛がほしいと、希ったことはない。生きたいと、祈った夜はある。平和を思いながら、たまに、ひどく暴力的な感情も芽生える。きみがいる、そこは、楽園だって。うそ、いつわりのないやさしさだけに、満ちている。透明。こわいくらいに。
春の空