四つ葉のクローバー

福田

春になると何気なく、四つ葉のクローバーを探してしまう。
白いポワポワした花は、いつも名前を調べては忘れる。
今年も、こいつの名前は分からない。

「犬の小便かかってるぞ」

そういう夢の無いことを言う奴が、俺は好きだった。

「猫のもかかってるわ」

「あっそ」

奴は、ごろっと横になった。
着ている制服のベストには猫の毛がついていた。
飼っている猫の名前も何度か聞いたけど、やっぱり忘れた。

「クローバーの花言葉って知ってる?」

「クローバーは葉っぱじゃん」

「それでもあんだよ」

「ふーん」

奴はゲームをしている。
イヤホンは、俺がいる方にはつけない。
デリカシーないくせに気配りが出来る。
そういうところが好きだった。

「約束とか幸運、らしいよ」

「だから探すんだ、みんな」

「お前は探さないじゃん」

「興味ないから」

足元にちょうど、四つ葉のクローバーがあった。
見向きもされない幸せは、俺に似ている。
私を見て。
なんて、ささやかな願いも、興味ない、には敵わない。

「あーあ、やだやだ。お前、絶対殺すわ」

「はあ? 何でだよ」

「復讐!」

奴を置いて、俺は逃げた。
花粉が目に入って、涙がでた。

四つ葉のクローバー

読んでいただき感謝です。

四つ葉のクローバー

四つ葉の花言葉を。詩的な掌編です。読んでいただければ幸いです。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-04-09

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