人類

あおい はる

 ろうそくのあかりが、みえる。森の、あの、古びた家に棲んでいるのは、朝のバケモノと交わった、少女たちと、そして、ぼくの姉。おそらく、あと、残骸。肉体の。たましいの器の。骨。ときどき、さ、どうしようもなく、にんげん、というものを、うらめしく思う、あの瞬間の、腹部の熱と、喉のつめたさに、ともなうのは吐き気と、空虚。当然のように。うまれる。にんげん。ほとんどおなじ体内構造の、人格の異なる、にんげん、という仲間に対して、ひどくゆるせない感情を抱くときの、すこしの罪悪感が、理性というやつなのだろうか。種を埋めた。傷口から、すりこむように。朝のバケモノは、いつも、あやしくもうつくしい笑みを湛えて、少女たちを愛している。花を咲かせて、花壇としている。みずうみには、散った花びらがばらまかれ、花びらは水を吸って、沈み、腐る。どうしようもなく、その日、うらんでしまったにんげんも、いずれは腐り、骨となるのだと想像することでの、慰めと、後ろめたい気持ちを飼い慣らして、帰路につく。四月の夜。

人類

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-04-06

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