夜明け

失くしたものを数えていたら、いつの間にか夜が明けていた。僕は死んだ目で外に出た。空を見上げた。つまらないくらいに綺麗だった。一番最後は心をカウントすると決めていたけど、きっとカウントできずに死ぬんだろう。不幸になるにも、幸福になるにも、愛するにも、愛されていると自覚するにも、このつまらないくらいに人間的な、脆弱な心が僕には必要だった。哀しいことに、喜ばしいことに、僕の痛みは、どうやら誰にも奪えない。

夜明け

夜明け

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-03-31

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