ファミレスのピンポンってときどき鳴らない

あおい はる

 ゆるゆると、しずんで。水。海の底。泡のおふとん。魚たちのささやき、みえない、あいと、し。まっくらだ。夜だ、と思ったときの、そんなしみじみと、夜だ、と思わなくても、夜でしかないとわかっているときの、ねじれ。だれかの呼吸音に、耳をかたむけているあいだに、星の、どこか、ぱりぱりと割れていくのに、気づかない。にんげん。神さまみたいな女の子たちが、水面から、しずんでいるわたしたちをながめている、かわいらしく微笑みながら。そんなときは、なぜか、チョコレートパフェがたべたい。とくに好きなのは、あの、長方形のウエハース、それから、チョコレートソースにつぶされて、ややかたちをくずしている、生クリーム。ファミリーレストランって、ちょっと偉大だ。真夜中に、ステーキを注文していたノアの、ことば。わたし、ずっとおぼえてるから。

ファミレスのピンポンってときどき鳴らない

ファミレスのピンポンってときどき鳴らない

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-03-31

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