【連載】万田ワールド・・・ 006
万田 竜人(まんだ りゅうじん)
006 吊り橋理論の創案
総論について述べられた三輪教授に続いて「私にとっての生涯学習」というテーマで各論
について、お茶の水女子大学の西原講師による指導でグループ・ディスカッションが行わ
れた。
西原講師によるグループ・ディスカッションは、自己紹介から入って行き、自分を動物に
例えると、と、いうようなユニークな導入部を経て、本題に入っていった。
これは、後で分かったことであるが、放送大学の学生には、元会社の管理職や役員経験者
などもメンバーとして入っていて、グループ・ディスカッションが堅苦しい雰囲気になる
ことが多いという経験則を生かして、頭の体操的な脳内をほぐす仕掛けの時間であった。
このような脳内のほぐしが行われた後で・・・
〇 放送大学に入学した動機
〇 放送大学で学ぶ目的
などが、各自から熱心に語られて、仲間意識が醸造された段階で、本題に入っていった。
グループ・ディスカッションで与えられた課題は・・・
「川をテーマにして自由に絵を描いて行くもの」で、私は、川を中央に配置して描き、
川の左右両側にリバーサイド的に自分の現在に至るまでの人生を描いた。
そして、川上に向かって、人生の奥深くに何かを感じ取って行くものとして、茫洋と
文学界を目指す自分の姿を描いてみた。
その具現化は、テキスト「生涯学習と自己実現」から「シリル・フールの考え方」に
出会ったことから「成人の学習の3タイプ」を参考にして・・・
〇 一つ目の「目標志向型」の学びの具現化として、川をテーマにして描いたところ
の上流に向かって、自分の人生の奥深くに、例えば、生かされて白寿に的を置いて、
そこに向けて 「吊り橋のワイヤーケーブル」をイメージ的に張り渡す。
〇 そのためには、今までの人生を振り返ることも含めて、二つ目の「学習志向型」
の学びとして、知識の獲得自体に意味を見出して放送大学で学び続ける。
〇 この具現化のためには、現在、専攻している「心理学」を卒業したら、次の学び
としては 「人間学」に専攻を移して、文学面からの学びに軸を移す。
〇 三つ目の「活動志向型」の学びとしては学習活動の中から、何かを得ようとする
目的で、実際的に小説を一作品毎に丁寧に書き上げて行き、これを橋脚として配備
して行く。
そして、日々の小説の原案の書き連ねは、一枚一枚を踏板として近未来に向けて張り
出して行く。
総論の部で学んだように「老いてなお文筆活動は可能である」と論じており現実的に
「一生涯学生作家」としての願望は、こうして、視野に入ったと云える。
現に、小説の第一作目は書き上げて某出版社の作品公募に応募して最終審査まで残り、
大賞受賞こそ逃したものの完成度が高い作品として実費出版を勧められた。こうして
一番目の橋脚は完成、今回の経験を踏まえて、今、二作目の小説を手掛けている。
さて、グループ・ディスカッションであるが「川をテーマにした作品」をそれぞれに
描き上げて、グループ内で、お互いの作品を見せ合って、それぞれの思いを皆さんに
紹介して意見交流を重ねた。
グループ・ディスカッションにおいて、面白いと思ったことは・・・
〇 メンバーの四人の中で、三人が、船に乗って、川から海に出る絵を描いていた。
〇 そして、私だけが、川を上流に向かって船を進め、川幅が狭まって船を進める
ことがことが出来ない場所からは、源流に向かって吊り橋を架け、さらに、上流に
向って前進する絵を描いていた。
ここで、私は、人には、それぞれの思いがあって、面白いなと思いながらも・・・
自らの発想に対して 「吊り橋理論」 と云う命名をさせていただいた。
あれから15年間が経過して、最近は星空文庫に出会ったこともあり、インターネット
の世界で、当時の夢を 「一生涯学生作家として小説を書き・俳句を詠むという文学」
の世界で日々の生活を過ごしている。
まさに「グループ・ディスカッションで語ったことを具現化できたということであり」
その夢を具体的に絵にするキッカケを与えて下さった西原講師には感謝・多謝である。
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その後、アウトルックのメール機能の不具合が起こり、修復のためのマニュアル類など
を探している過程で、偶然、当時の学習ノート「生涯学習と自己実現」を見付けて頁を
開いたところ・・・
〇 当時の対面授業が、2006年(平成18年)であり、定年後4年を経過した時期であり、
今から15年も前であることを思い出した。
〇 受講後は、レポートを提出することが課せられており、レポートへの記述の内容は
省略するが、講師コメントとしては「この調子で頑張ってください」と記されており、
お茶の水女子大学の三輪教授の押印が確認された。
そして、私自身、面白いと感じたのは・・・
学習ノートの末尾に、当時、これぞ「生涯学習と自己実現」と、して受け留めたと思わ
れる某雑誌からの転載記事を見付けて、受講後のことを懐かしく思い出した。
【茶の湯のこころ】を語る 小堀宗慶(遠州茶道宗家12世)前家本 1923生まれ
「茶事では、お客さま、と、亭主のこころが、物を通して通いあうことが大事」
「若いときには若いときなりの、年齢を重ねてからは、それなりのお茶の在り方がある」
ときどき「お茶とはなんですか?」と聞かれることがある。
この質問に「お茶とは私です」と答えることにしています。
その人の修練の積み重ねから、生まれる工夫やこころが、そのお茶に表れる。
私のお茶は、そのようにして、お茶とともに、生きてきた私自身であると思うのです。
まさに「生涯学習と自己実現」を茶道を通じて端的に表している言葉ではないだろうか?
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ついでの話題となって、恐縮だが、当時 「吊り橋理論の実践」として書き出した原稿を
前述の受講ノートと一緒に見付けたので、近日中に、あらためて推敲を重ねて星空文庫に
掲載してみようと考えている。
(続 く)
【連載】万田ワールド・・・ 006