麻酔薬

付け合わせの麻酔薬を飲む。空におびえる私の思考、眠りにいざなうための長い悪戯。鏡の切れ端で構成された魂の顔が怒りに震え、艶やかな朝焼けが瞳に潜む黒い牙を解体する。甘い言葉を混ぜるための物語。海の背中に吊るされた聖者のシルエット。暖かい悪意を湛える赤い光が純潔の礼拝を貪る最中(さなか)、幻想に映る小さな檻が、死の手前萎縮する体のように小さく震える。神々の狼狽を目の当たりにして、ただひたすら助けを求め泣いているのでいっぱい。銀河からの呼び声がキラキラと美しく響き渡る。脊髄を滑る重い血、均一な陰鬱によって担保された湿り気のない涙。目を閉じて、冷たくなった脈に別れを告げるとき、星の光がすべてを包む肌となり、生命の空気が夜空に漏れ出て、それでも私の影は踊る?

麻酔薬

麻酔薬

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-03-29

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