惜別
朦朧として、意識、ぼんやりと白く霞んで、ともなう吐き気と、詩。鼓膜に、いつまでも纏わりついている、踏切の音。夕暮れ。だれもいなかった、線路。きみがいた、街。ひとりきりだった、秘密基地。ときどき、聴こえるんだ、星の悲鳴が。コンビニで、やきそばパンでも、メロンパンでもなく、クロワッサンを買って、むしゃむしゃと食べながら、しろくまのせなかに、耳をあてる。夜の、公園のベンチで、しろくまの体温に身をゆだねているあいだに、ちょっとでもいいから、せかいがやさしくあれと思う、ささやかな祈り。
黒い箱。
白百合の花。
こわいくらい青い空。
きみの、つめたいからだ。
惜別