偽環

作りものの友達は結局、空虚なんだ
深い関係が怖くて仕方がなくて
浅いものにこだわって今までを生きてきた結果がこれだ
何も残ってない
それを望んでいたはずなのにね
本物なんて自分を苦しませるもの以外の何物でもないんだ
だから、偽物の、作り上げられた、それにもう既に至った既製品が欲しくて堪らないんだ
だって怖いじゃないか、それで得る傷なんてもう嫌だよ
疲れたなんて言葉じゃ言い表せない
心が酷く、胸が酷く浮つくんだ。緊張した時みたいな感じにね
手足の指の先に血が足りなくなるのを感じるんだ
筋がキーンと張り詰めて、痛みだろうけれど違う突飛な感覚にびっくりするんだ
嗚呼、なんて空虚だろうと思うよ
誰にも理解されないんだ、この苦しみと疲労と苦痛は、言葉にすることはできない
救いなどないんだ。
神なんていない。
仏さえもただの偶像に過ぎない
嗚呼、先の無い未来は暗く曇って、後ろを振り向けば黒く濁っている。
観たくないし、見せないのだ。
最低の映画だよ、入場料は取らないから、どうぞ観てくれという気持ちなんだ
ディズニーのアトラクションにでもいいかもしれないね“It’s small world”って名前でさ。
もう虚ろなんだ、何もない、快晴にさえならない、私の気持ちを誰かわかってはくれないか。
しかしだ、その共感でさえも求めていないのだ。
嗚呼、なんて傲慢なのだろう。孤独は猛毒である。私と時を分かち合う人がいるのはどれほどに残酷なことなのだろうか
感情は伝染する、感覚も全て
そうして人は猛毒を耐え凌ぐのだ、そして生きる活力に今日を生き明日に希望を見出し過去を美化して素晴らしいものと受け入れるのだ
しかしそれさえもできない私の心は憔悴の一途を辿るばかりなのだよ
もうどうすることもできないのだ、負の循環が留まらない、苦痛にもがき苦しみながら、喘ぎ嘆くのだ。希望も改竄も何もない。中和する解毒剤を欲し、耐えられずどうすることもできず、ただ、ただ摩耗する精神に呼吸することしか許されないのだ。
救いを求めるのだ、沈む。溺れるのは諦めた、ただ沈むのだ。諦める、助かる道を自ら閉ざしてしまうのだ。だってそうだろう、どうすることもできないのだから。

偽環

偽環

友達という解毒剤

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-03-22

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