奇想詩『黒ルサンチマン』
帰り道に
生きているルサンチマンを四匹見かけて
死んでいるルサンチマンを一匹見ました
死んでいるルサンチマンは目を開けたまま
頭から血を流していました
車に轢かれたのだと思います
死んでいるルサンチマンのそばに
子ルサンチマンが座っていました
死んでいるルサンチマンは
その子ルサンチマンの父親か
あるいは母親だったのかもしれません
僕はその死んでいるルサンチマンと
子ルサンチマンの姿を見て
自宅にいる黒ルサンチマンのことが心配になりました
急いで帰宅すると黒ルサンチマンはいませんでした
仕事で疲れていましたが家中を探し回りました
けれどもどこにも黒ルサンチマンは
見当たりませんでした
そこで僕は出し抜けに思いだしました
はなっから黒ルサンチマンなんて
飼っていませんでした
奇想詩『黒ルサンチマン』
〈あとがき〉
面雀から生まれた板尾創路の「黒ボンジュール」にインスパイアされました。