奇想詩『黒ルサンチマン』

奇想詩『黒ルサンチマン』

帰り道に


生きているルサンチマンを四匹見かけて


死んでいるルサンチマンを一匹見ました


死んでいるルサンチマンは目を開けたまま


頭から血を流していました


車に轢かれたのだと思います


死んでいるルサンチマンのそばに


子ルサンチマンが座っていました


死んでいるルサンチマンは


その子ルサンチマンの父親か


あるいは母親だったのかもしれません


僕はその死んでいるルサンチマンと


子ルサンチマンの姿を見て


自宅にいる黒ルサンチマンのことが心配になりました


急いで帰宅すると黒ルサンチマンはいませんでした


仕事で疲れていましたが家中を探し回りました


けれどもどこにも黒ルサンチマンは


見当たりませんでした


そこで僕は出し抜けに思いだしました


はなっから黒ルサンチマンなんて


飼っていませんでした

奇想詩『黒ルサンチマン』

〈あとがき〉
面雀から生まれた板尾創路の「黒ボンジュール」にインスパイアされました。

奇想詩『黒ルサンチマン』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-03-21

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