スーパーボール(2021年版)
これも別にタイトルは無理にスーパーボールじゃなくてもいい
肩に力が入ってると平素からよく言われている。
「・・・おお!」
確かに自分でもそれに気が付く時は多い。例えば土曜日の夜10時、22時台とか気が付くと肩に力が入ってる。
「即興バトルだ。どうしよう。必須要素に文末全部「!」とか来たらどうしよう」
とか、そういう事を考えている時、気が付くと肩に力が入ってる。ドラクエのゴーレムみたいな肩になってる。
あと最近、日付が変わる30分前とかにnoteのこぼれ話をまだやってない時とかも肩に力が入ってる。
「何書こう。連日投稿バッヂが途切れるぞ」
って思いながらも、それが超心配になりながらも動画の試聴とかやめられなかったり、あと音楽を聴いてて何も考えられない状態になってるとか。
「動画視聴やめろ!」
とか、
「音楽一回止めろ!」
って頭の中では思ってるのに、それがなぜかやめられない。そう言う時、気が付くと肩に力入ってる。あと格ゲーとかやってる時とかアクションゲームやってる時とかも肩に力入る。
「ああ、ああああ!」
コッチの体力があとちょっとの時とか肩に力がぎゅうぎゅうに入ってる。バイオのRE3で言うと、屋上で追跡者とがっつり戦う事になった時、炎がよけきれずすっかり視界が白黒になってる時とか、肩に力が入る。入ってる。
んで、最近ようやく暖かくなってきて、にわかに冬の雪解け春の訪れとかと共に、そんなんの蓄積も雪解けて表層に春の知らせが芽吹いたみたいに出てきたのか、
「ううう」
突然ものすごく肩が痛くなった。
「ええ?何?」
思えば歯の痛みに伴う歯痛を解消して以降こんなに肩の痛みが表面上に出ることは無かった。寧ろ私なんて肩こりしないタイプだ。普段何も考えてないし、悩んでもいない。
でも加齢によるものなのか何なのかは知らないけど、歯の痛み、四聖獣、四神の様な親知らずの痛み、右奥上右奥下左奥上左奥下、四聖獣を抱えていた頃の様に肩こりが凄く耐えられないくらいになった。
バンテリン的なものをいくら塗っても解消されない。寧ろバンテリンを塗る際の手の動き肩の動きに呼応するように、びきんと響いてそのたびに、
「ぎいい!」
ってなる。対魔忍みたいになった。感度3000倍みたいになった。薬も塗りすぎて皮膚が若干溶けた。
「またお金かかる。steamでゲーム買う予定だったのに!」
しかしもうこれを放置していては何も出来ない。仕方ないので整骨院的な所に行くことにした。
ハッピー整骨医。という家の近くにあって、しかも他にも歯医者とか内科とかも同じ建物にそれぞれ違う名前で入ってる、だから一か所にみんなで入ってそれぞれでやってますみたいなところに行って診てもらうと、
「ああ、肩に力入ってますね」
と、そこの強面の先生から言われた。ハッピー感はない。室堂茂雄と名札には書いてる。繰り返すけど、強面。肌も浅黒い。ハッピー感がない。
「はい。よく言われます」
痛みに憔悴しきってもう死ぬのかなと思いながら受け答えしていると、先生は最近多いんですよと言った。
それから、
「じゃあ、ちょっと寝てください」
と診察台にうつ伏せに寝かされて。で、
「ちょっと痛いと思うんですが、すぐに済みますから」
と、言われて、え?いやこういうの初めてで、ちょっとあの、とか思った次の瞬間、
上から押さえつけられて、肩ごりんと回された。
レゴみたいに。
レゴブロックの人の手みたいに、最初取れたのかと思った。
ポロンって取れたのかと思った。あ、脱着可能なんだ私の腕ってえ!って思った。それくらいの痛み。現実逃避するほどの痛み。
「あっははああ!」
って笑っちゃうよう感じ。泣いて笑って笑って泣いて、で、その後怒りとか恐怖心がちょっと遅れてやってくるみたいな。
「・・・」
ただその時はいつもの感じとは違った。その後に怒りと恐怖心も顔を出したが、それらはすぐに引っ込んでしまった。でもその代わりに疑問がやってきた。
肩が楽になっていた。
気のせいとかじゃなく、本当に。何の違和感もなくなってしまった。あっという間に。感度3000倍が何にも無くなってしまった。
「はい、右は終わりましたよ」
先生の声が上からした。
枕元になんか置かれた。
力と書かれた玉。スーパーボール位の大きさの玉。玉おかれた。ボール。
「なんですかこれ?」
「肩に力が入ってるって言ったじゃないですか。肩の力ですよ」
先生の声が上から降ってくる。
「じゃあ、今度は左ですね」
肩の力ってそうなの?そんなドラクエの力の種みたいな感じなの?そうなんだ。へー。力と書かれているその玉はスーパーボールで言うと一等賞くらいの大きさだ。大きくて見栄えも良くて派手で。でも大きいからあまり弾まない。
スーパーボール(2021年版)