やっぱ乃木坂だな

静堂唯我

 握手会前夜、どう見ても自分、浮かれている。もちろん、予想はしていたが、笑みが相当零(こぼ)れてしまう。

 乃木坂のメンバーに言いたいことがあり過ぎて、結局はこの日まで悩んでいた。それを、決めようという段だが、脳内では抱え切れなくなったので、スマホのメモに書いたら、サクッとまとまった。

 きいちゃん=北野日奈子は、昨年12月に購入した写真集について。表紙の裏の手書きのメッセージに感動した。それを言う。

 さゆ=井上小百合も写真集について。それと、ファンに優しくあるための秘訣をぜひ訊く。

 れなち=山崎怜奈は、ちょうど彼女がアシスタントを務めるラジオの金つぶが放送なので、そこから話題を。前夜のラジオの話題を翌日話せるとは至福だ!

 絢音ちゃん=鈴木絢音は、アイドルとしては珍しく飛行機が好きなのだ。彼女を知るのにつれてクルマ好きの僕は飛行機、特に戦闘機に興味が出てきたので、それを伝えよう。萌え、だぜ。

 まいちゅん=新内眞衣は、乃木坂46のオールナイトニッポンというラジオのパーソナリティーをしている。それの妄想あいのりラブワゴンのコーナーが面白いと言う。

 みおたん=堀未央奈は、映画ホットギミックが公開なのでちょうどいい。ちょっと攻めて、アカデミー賞取ってとボケてみよう。(実際は上海国際映画祭のアジア新人部門・優秀女優賞を受賞している! )

 でんちゃん=佐藤楓は、2回目だ! 推しメンの好きなものは自分も好きということで、正月の箱根駅伝見ましたよ! 面白い! なので、その話題だ。でんちゃんは今回も選抜メンバー!

 あまり緊張はしていない。今回は自分からグイグイ行くのが目標だ。

 もう19時前。

 金つぶが始まるので、ラジオのアプリを立ち上げる。明日会えるれなちの声が生放送で聴けるとは最高だ! 予告で言っていたが、今回はクイズについて喋る。れなちは頭脳明晰なキャラがすでに定着していて、あのQ様に出ているのだ。まさにタイムリーな話題である。

 やはり金つぶ、クイズだけに盛り上がっていた。れなちの声はとにかく女性らしく、色気もあって聞きやすい。

 乃木坂の面々はキャラクターが豊かなので、れなち以外であっても、顔の見えないラジオにも関わらず聞き取りやすいし、個性を出して来るのだ。

 れなちはカワイイ&キレイのみならず、キャラクターはある意味濃いと言えばそうだが、悪い出し方など絶対せずに空気を読んだ発言ができ、自分の主張をしつつも結句相手に合わせるコミュニケーションのツボを分かっている。いわば言葉のキャッチボールが上手い。そんな全てが聞きやすさに繋がって来るのだろうか?

 金つぶは毎週楽しくて仕方がない!

 後半はちょうどよく軽く心地好い眠気がやってきた。一日の締めくくりを幸福に迎えられる幸せ、ありがたや。

 自分は稀に消灯前にむしろ眼を冴えさせてしまうことがあり、そう来ると眠れるまで余計な考え事に耽ってしまい困る。夜遅くの考え事がプラスのわけはなく、職員の方を困惑させる言動を取ってしまうことも多々あり、なので。

 話が停滞するのは嫌でしかないが、あまり書きたくない精神的な真面目な話をしてしまおう。

 向き合いたくなくなりつつある? いや、放棄しても責任を問われはしない、むしろ放棄した方がろくでなしには堕ちるだろうが、周り回って、というより、気違いじみた、精神病のような同情されてしまう感じまでいってしまえ、障害者だからといって何でも許されるわけでもないが、自分はどうしようもなくなり、狂うしか能もないから、諦める、許す許さぬの問題などどうでもいい、病院なのだから世話はしてもらえる、知るか、と甘いエゴイスト思考になりかけること多々。

 が、そもそも、同情だけ当たり障りないようにされて、甘えて、狂い、悶えて、結句憂鬱な自己嫌悪に陥る、そんな悪循環、自分も他人も不快なだけ、無意味なだけじゃないか。

 変われないにしても、狂うときもあるが、怒りを出し過ぎたなら、切れて暴言を浴びせたなら、相手がどう思うかを忘れてはいかんだろう。

 てか、ここに色々書いている時点で、変われない自分を何とかしたい、諦めたくない、ということ、ならば変われるかもしれないじゃないか! 乃木坂がついてるじゃないか!

 よし、大丈夫。

         ○

 そういえば、乃木坂に私、起きる。なんて曲あったな。調べてみると、生田絵梨花センターの何度目の青空か、のカップリングだった。

生田絵梨花、いくちゃんは地方の握手会には基本的に参加していないので、是非とも行きたい! 推しているどころの騒ぎではなく、神推しすらも超越した存在、会えることを想像するだけでいい意味で危険だ。いくちゃんはロミオとジュリエットなどミュージカルで活躍していて、歌声があまりにも素晴らしい。そして、性格がいい。面白い。美人だし、パーフェクト、いい所の塊でしかない! というか、乃木坂はみんなそうです。

 幸せないい朝を迎えられている! 最強にいい日に違いないだろう! 本物に会えるのだ! いい所の塊、しかも美人という!

 当日、午前中昨夜の、もちろん乃木坂のかなりん=中田花奈のラジオ、沈黙の金曜日を聴いていた。夜遅くの放送なので、ラジコのタイムフリー機能を活用する。アプリもネットも整っている状況に感謝だな。使えるものは使わなければもったいない。

 ラジコで聴いている乃木坂のラジオは、

 日曜放送の乃木坂46の「の」、らじらーサンデー、月曜放送のthe魂、水曜放送のレコメン、乃木坂46のオールナイトニッポン、ヒットスタジオ、木曜放送のイマドキッ、金曜放送の金つぶ、沈黙の金曜日、土曜放送のPOP of WARLD、きみまち

 と、盛りだくさん、欅坂と日向坂にも推しメンがいるので、カオスなほど充実している。

あともちろん、テレビもだ! 徹子の部屋に出演するとは、乃木坂の成長には目覚ましいものがある。秋元真夏は密かに?国民の嫁と言われもしている。齋藤飛鳥の小顔さは乃木坂を知らない人でもイメージつくほど、白石麻衣はドラマにも出ているし、とにかく凄い。いい意味で心地良い劣等感さえ覚えるほどだ。自分がどうであろうと、そんな存在を好きでいられるとはなんて最高なのだろう? 

自分らしく、一歩一歩でいい。地位や名誉などどうでもいいし、何を成したかでもなく、前を向いて、人生を明るくする方が大事。

乃木坂は、みんな才能や運に溺れてそれを鼻にかけることなどなく、全てにおいて謙譲の精神を忘れない。周りへのやさしさは自分へのやさしさともなっていくはずだ。彼女たちは何よりも笑顔で楽しく生きている。なので、自然に自らの幸運に感謝しているように映る。感謝している、また、それができるということは、心地良いだろうし、それを目の当たりにするファンは、嬉しいとしか言えないのだ。

まさに、「存在するだけで影響与えてる」。これはインフルエンサーの歌詞だ。乃木坂はもはや国民的アイドルにまでなっているというな。とにかく元気をいつも貰っている。いつもありがとう。

昼食を摂り一休みする。今さら実感が湧かない。有名人なのだから握手会が何度目でも不思議に嬉しいのだろう。

いよいよ、車イスに移動する。準備完了だ。雨が降っているが、本降りにはならなそうである。握手会でメンバーが集まっているなら、笑顔のエネルギーで雨雲を吹き飛ばすかもしれない。

車に乗るとき、スロープ車なのだが、少し手間取って微妙に焦った。大したことはなかったけれど。

車では何と話しかけるかイメージトレーニングしておく。想像がリアル過ぎていい意味で恐ろしかった。想像は、自分にとって小説を書く上で原点となるものだし、それとも別にも相手の立場を思いやるという意味がある。乃木坂のおかげで小説も人間関係も頑張れる。人間関係は時々嫌になるけれど、生きている限り向き合わなくてはいけない。

握手会で元気をもらいに行く。嫌なことはあっても考えないで、いいことだけ思い出す。前回の握手会の想像も何度も自分を救っているのだ。笑顔の下の苦悩。乃木坂のメンバーこそあるだろう。乗り越えるイマジネーションを与えてくれるのはいつも彼女たちだ。

常々時間の流れを早く感じているが、楽しみが目前に控えているので会場に着くのを今か今かとドキドキして待っていた。まだかな、まだかなと子供のように。喜びに無心になれるのは最高だぜ。まいちゅん、さゆ、きいちゃん、絢音ちゃん、みおたんはどんなにエネルギーをくれるのだろうか? 二回目のれなちとでんちゃんは絶対に綺麗過ぎるだろう。会う前から嬉しい。泣くかもしれない。

事前に心で舞い上がっているうちに夢メッセにいよいよ着いた。これは夢ではない。待ちに待った瞬間いよいよ、来る。

                        ○

 会場に入ると、前の握手会を思い出し、何だか感激してしまった。ただただありがたく思えてくる。

 障害者レーンに案内される。レーンに入ると、まさに、ウキウキしていた。言葉にも尽くせない。

 待ち時間に佐々木琴子と、最近入ってきた四期生の田村真佑がチラッと見えた。敢えてあまり見過ぎない。目に焼き付いてはいるが。あと、前々列くらいの人がさゆと握手しているのが割とくっきり見えた。

 さゆにアピールするのに写真集を持参した。そろそろ自分の番なので、付き添いの母に写真集を膝に乗せて置いてもらう。イメージトレーニングは完璧に出来ている。さゆにはどんな魅力があるのだろうか?

 ついに、順番がやって来た。最高の瞬間、いざ!

 最初目が合った一瞬間の印象。さゆはお人形感がまず強く、映像などで見るよりも透明感が凄まじい。肌の白さなどはもちろんだが、雰囲気が清廉かつ綺麗を凝縮した魅力に溢れているのだ。そして、何より小顔だし、笑った時の目の細くなる感じが大人っぽさと可愛いあどけなさをより強調している。

 髪型は前髪が下りているセミロング、服は確か白い清楚で大人っぽいテイストだった。

「写真集、嬉しい!」
 さゆは目を輝かせて言った。
「買ったよ!」
 続けて自分は、
「聞きたいんすけど、ファンの人に優しくする秘訣とかありますか?」
「あんまり考えたことないな」
 言ってから思ったが、根が優しいから考えなくても出来るのだろう。
「また来てね!」

 なんて神ってる魅力なのだろうか? 親近感もあるが、神のように、天使のように心が透明なのがとても良いのだ。舞台で活躍しているだけあって、心が研ぎ澄まされているのだろう。役になりきる力が人一倍なのは間違いない。可愛さこそ凄まじいけれどな。思った通りの神推しのさゆだ。

 次はれなちだ。

 れなちはやはり知的さが魅力だ。が、笑顔の印象は知的さの中にもいい意味で子供っぽさを感じられる。笑顔以外の澄ましていたり、真剣な表情だったりをネットやテレビで見るが、知識や人間性の豊かさを凄く持っているだけあり、笑顔の花開く感じも表情豊かである。れなちは何より、大きな黒目が可愛いのだ。大人な可愛さが凄まじい。

 服はオレンジ色なのか濃い目のベージュ色なのかのワンピースっぽい感じ。大人可愛い印象だ。髪はカールさせているセミロング。

 目が合った時、ハートを射抜かれた。
「昨日ラジオ聴いたよ!」
「盛り上がったでしょ?」
「面白かったよ!」
「Q様とか見てね!」
「見てるよ!」
「ありがとう! また来てね」

「お疲れ様です」
 れなちは付き添いの母にも言った。さすがだ。

 変わらない魅力、いや、容姿の清楚さにも人間力にも磨きがかかっている! この変化は凄いぞ。活躍しているからこそ何もかもが輝いているのだろう。そして、内面の美しさは凄まじく、控えめさ、というか、とにかく人間が凄いのである。自分も、頑張ろう!

 そして、まいちゅんの番。

 と、思いきやここで嬉しいハプニングが起きる。梅ちゃん=梅澤美波、が何らかの手違いで一瞬入って来てすぐに出ていった。ラッキーなことに目が合った。今度はまいちゅんだよな?

 まいちゅん、いよいよ来た。なんて美人なのだろうか? 27歳なのだが、大分若く見える。そして、雰囲気と声がラジオそのままで驚いた。そのまま感が強い。いかにも年上の綺麗なお姉さんといった印象で、頼れる、というか、信頼感、というか、親しみやすい。笑顔になるとできるシワはキュートだ。

 忘れてしまったが、ワンピース的な服装だった。髪はセミロング、よりは長い。お馴染みの感じだ。

「オールナイト聴いてるよ!」
「ありがとう!」
「あいのりの妄想のやつ面白いね!」
「誰が好き?」
「進行ちゃん!」
「それ分かるわー!」

 まいちゅん、凄いな。話しかけ方、が好みでもあるし、コミュニケーション力が高いのだ。こんな人が恋人として理想だ。究極のお姉さん像とはまいちゅん、のことだろう。年上だから上司でも、医者でも好印象そうだ。あと、やはり乃木坂なので笑顔が魅力だった。言うまでもない。

 4人目、きいちゃん。きいちゃんの写真集も持ってきたのでアピールするのに膝の上にセット。

 来た。きたのがきたの! 写真集のTwitterのオフショットのところにこんなダジャレが書かれていた。見た印象、笑顔が朴訥(ぼくとつ)な感じで、いい意味での素朴さの中に華がある。目が大きく、涙袋が可愛い。で、何より純真さが、その可愛さと一刹那の仕草からひしひしと伝わるのだ! 神だ! 髪型は短めのセミロング。

「久しぶり! 写真集、嬉しいー!」
 はじめましての久しぶり。これぞ神対応だ。既にきいちゃんは自分の心と頭にいるということなのか! さすが、分かってるな。
「持ってるよ! 裏のメッセージ感動したよ!」
「本当? あれね、自分で書いたんだよ」
「字が上手だと思ったよ!」
「ありがとう!」

 いや、こっちがありがとうだ。見かけは大分可愛い寄りではあるが、むしろ大人っぽい色気すらあり、それでも永遠の少女らしさを、ピュアさを兼ね備えている。強いエネルギーを持ってはいるだろうが、それが穏やかな「透明な色」なのだ。内面の美しさ、純真さが、可愛さに投影されて、最高なのだ。写真集のタイトル、透明な色、まさにピッタリじゃないか?

 そして、絢音ちゃんだ。ある時から推している。ほぼ一目惚れだった。

 絢音ちゃん、来た! 印象はやはり、陰影が豊かで美人だ。秋田県出身なだけあって秋田美人というな。いい意味でむしろハーフっぽい感じもある。目がとにかく綺麗というか、それでいてやわらかで優しい。知的で大人で清純な美しさに溢れているのだ。服も可愛く、セミロングがお似合いだ。ナチュラルな感じ。

「俺元々クルマ好きなんだけど」
 絢音ちゃんは熱心に耳を傾けてくれる。
「最近戦闘機にもハマってんだ!」
「そうなんだ! また遊びに来てくださいね」

 乃木坂だから笑顔が輝いているが、笑顔が、絢音ちゃんの人柄そのものの象徴なのだ。仕草の末節に至るまで、優しく見えるし、何より精神的に綺麗、二十歳にしては大人だ。大人、と言っても親しみやすさは凄いあるのだが。とにかく最高。

 六人目のみおたん。みおたんを推したきっかけはFNS歌謡祭で、誰かとAKBと乃木坂のコラボした曲、必然性だ。ウイングが可愛かった。眼差しに惚れたのだ。

 とにかく第一印象、おしとやか、だ。来てよかった。言葉に尽くせない。妖精のようでもあるし、透明感、綺麗さが凄い。人間の豊かさも凄い。穏やかな話し方、声が可愛い。何もかもが最高、ただただ美人だ。濃い水色の服装だった。

「映画楽しみにしてるよ!」
「映画?」
「ホットギミック楽しみにしてるよ!」
「ありがとう!」
「アカデミー賞取ってね!」
「取れるかな?」

最後、もっと何か言おうとしたが、言葉がもつれた。魅力的な声と全てに全身がとろけそうだ。みんなそのようなものだが。言うまでもなく。

最後はでんちゃんだ。前回の自分至上初の握手会でトップバッターだった。だからある意味思い入れが特別である。

いよいよ来た。ああ、やはり最高でしかない。前よりも輝いている。表情が、声が、素晴らしく、泣きそうになるほどの感動だ。綺麗。ただただ清楚、細くて色気もあり、目鼻立ちははっきりしていて、日本どころか別の外国のモデルか何かとさえ錯覚した。内面からして洒落ているわ、雰囲気が優しいわヤバい。白い服装も、ロングヘアーも最高に可愛い。何よりも、会えて嬉しい。

「おー、久しぶり!」
「最近駅伝見てるよ!」
「おお! どれ見てんの?」
「箱根! 盛り上がったね!」
「青学ぜひ応援してね!」
「するよ!」
「わざわざ仙台までありがとね! また来てね!」

とにかく、感謝感激だ。楽しかった。覚えていてくれたとは嬉し過ぎる。一生の思い出になった。これは何回でも行きたい。

やっぱ乃木坂だな!

やっぱ乃木坂だな

やっぱ乃木坂だな

  • 随筆・エッセイ
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-03-10

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