泣く窓

私は 何を見ていたんだろう

何を 見せられていたんだろう

流した涙を飲み干しても

この痛みは消えるはずもなくて

濁るレンズの中心で

惨めに蹲っているだけ

脆い腕に引かれる夢ばかり見るのは

見せられるのは だれの謀略?

目をさましても涙は止まらなくて

どうして泣いているのかもわからなくなって

私は投獄される 自由という途方もない地に

咲く花は 耀く星はひとつも無くて

捨てるものも無くなって 余りにも身軽になりすぎた

私はいつも どこか遠くを見ていた

同じ場所に居続けることができなくて

同じ景色を見続けることもできなかった

ほんとうは どこにもいきたくなかった

このまま侵されて 真っ黒になりたかった

泣く窓

泣く窓

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-03-08

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