泣く窓
私は 何を見ていたんだろう
何を 見せられていたんだろう
流した涙を飲み干しても
この痛みは消えるはずもなくて
濁るレンズの中心で
惨めに蹲っているだけ
脆い腕に引かれる夢ばかり見るのは
見せられるのは だれの謀略?
目をさましても涙は止まらなくて
どうして泣いているのかもわからなくなって
私は投獄される 自由という途方もない地に
咲く花は 耀く星はひとつも無くて
捨てるものも無くなって 余りにも身軽になりすぎた
私はいつも どこか遠くを見ていた
同じ場所に居続けることができなくて
同じ景色を見続けることもできなかった
ほんとうは どこにもいきたくなかった
このまま侵されて 真っ黒になりたかった
泣く窓