三月の再生

あおい はる

 つめたい肉体。やさしかったのに、すべてのものを平等に、あいするひとだったのに。偽善者と罵られることをも厭わずに。生命、無機物、目に見えない細胞も、あのひとにとっては、あいする対象だった、この惑星で、わたしたちは日に日に大きくなってゆく月を見上げては、ためいきを吐いた。わたしたちは、なにをまちがったのでしょうか。もうまもなく、この星は月の一部となります。なので、好きなときにケーキをたべることにしました。チーズケーキ、ひとつのパッケージにふたつはいっているお得感のあるやつで充分だったのに、想っていたものが売っていなかったので、ケーキやさんで買いました。あのひとが庭に植えたスノードロップの花が、永遠に枯れないでいる。白い花びらを降らせて、雪が積もったみたいな花壇を、わたしはケーキやさんのベイクドチーズケーキを食べながら、ながめている。いまはもう、昼が夜で、夜が昼で、あのひとのからだはアイスクリームで、わたしの爪はナイフだった。

三月の再生

三月の再生

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
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CC BY-NC-ND
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