愛したのがきみだけならよかった

あおい はる

 きいろ。しあわせの象徴みたいなその色に、そまりたかった。くるしみを、だれかがとかして、錠剤が胃のなかでとけるみたいに、星がそれを吸収して、生を生む。死をおもんばかる。愛がはじけて、また、あらたな命がめばえる。二十四時。海底に、きみがわすれていった携帯電話が、鳴りひびく。迷惑そうにあくびをする、さかなたち。どこか鈍った電子音を発する、携帯電話を、おそるおそるつつく、えびやかに。携帯電話のまわりを、ぐるぐる旋回し警戒する、サメ。砂浜の砂に、夜空から降ってきた星屑がまざって、踏み躙られて、啼いているときみたいに、なんだか、物悲しくなる感じがして、耳を塞いだ。真夜中のバケモノが、歩道橋の上から、闇に沈んだ街をじっと見つめているあいだに、ぼくは灰色の息を吐く。ねむれない。せかいは、白くていい。

愛したのがきみだけならよかった

愛したのがきみだけならよかった

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
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CC BY-NC-ND
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